小説
綾辻行人のAnother。「死に近い」と言われている三年三組。そのクラスには死者が混じっている。<死者>は誰?綾辻行人のだまし絵に酔いしれる作品
中村文則の掏摸。逃げることができない、支配された人生。社会から外れた人間たちの苦しみと、自分に選択権のない人生の恐ろしさを目の当たりにする。
小池真理子の二重生活。何の目的もない、知らない人の尾行をする女子大生が様々な秘密を知る。不思議な不気味な魅力をしることになる。
柚木麻子の本屋さんのダイアナ。本好きなダイアナに始めて友達ができる。少女が二人、強く成長していく物語。
筒井康隆の旅のラゴス。ものに依存することで人間は能力を失う。文明がなくなったことで、人間たちは知恵を取り戻す。
三浦しをんの神去なあなあ日常。便利なものは何もない、ゆったりとした時間の中で、現代人が忘れた何かに出会う。
舞城王太郎の好き好き大好き超愛してる。ぶっ飛んだ題名とは違い、重厚な内容に圧倒される。人間はどうやって生きていき、そして死んでいくのかを考えさせてくれる一冊
池井戸潤の銀行総務特命。勧善懲悪のすっきりとした物語である一方、銀行の組織や人間に問いかけを放つ。社会に、もう一度考える心を。
折原一のグランドマンション。グランドマンション一番館には変わった住人がたくさん住んでいる。終盤にはすべてが繋がる快感を得られる一冊。
真保裕一のローカル線で行こう!。テーマは赤字ローカル鉄道の再生。一人のひたむきでまっすぐに突き進む人間が世界を変えていく。
橘玲のタックスヘイブン。有名ファンドマネージャーの死の裏側に何が隠されているか。権謀術数渦巻く中でいかにして生き残るか。
筒井康隆の文学部唯野教授。大学教授の日常をコミカルに描く。コミカルな日常の中に、急に文学論、形而上学などが入ってくる。
柳広司のジョーカー・ゲーム。強靭な精神と緻密な思考力が求められるスパイという職業。彼らの生き様に迫る。
京極夏彦の姑獲鳥の夏。ワトソン視点が客観性を損なうことが本作の特徴。自分の脳に錯覚させられていないだろうか。
舞城王太郎の九十九十九。作中作がひたすら繰り返し、自分がどこの視点にいるのかわからなくなる。小説の真骨頂。
村上春樹の世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)。作られた世界の中で生活する僕と、意識が失われつつある私。
村上春樹の世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)。同時進行で進む物語たちは、つながりがあるようで、無いような不思議な関係。
竹本健治の匣の中の失楽。メタ的視点が含まれるミステリ。現実と虚構の狭間で自分自身の立ち位置を探る。
田中康夫のなんとなく、クリスタル。昔の若者の内面を描く。意外と現代と変化がなかったりする。時代を写す小説。
綾辻行人の十角館の殺人。トリックとどんでん返しといえばこの人。同時並行で進む彼らの物語は、いつのまにか重なりあう。
佐々木敦のニッポンの文学。文学も小説の1ジャンル。新たな作家や作品に出会うための一冊。
東野圭吾の放課後。著者のデビュー作である江戸川乱歩賞受賞作。学校という集団に隠された真理を描く。
横山秀夫の64。事件本体は、どこにあったか。ゴールが見えないまま全速力で突っ走らされる。ミステリーの怪物。
宮部みゆきの魔術はささやく。偏見に塗れた環境下で少年は育つ。周りの悪意に触れ、どのように行動していくのか。
磯田道史の無私の日本人。貧しい宿場町を救うために、商人が考えた方法は、殿様にお金を貸すこと。日本人の心意気を思い出させてくれる。
宮部みゆきの名もなき毒。杉村シリーズ第二段。事件の影に見え隠れする人間たちの毒に驚愕しながら読み進める。
宮部みゆきの誰か。マスオさんこと杉村シリーズ第一段。探偵物の皮を被った人間ドラマ。
憧れの職業の視点になれるオススメ小説10選。小説のいいところは、他者の視点を体験できること。
押切もえの永遠とは違う一日。夢を追い続けること、諦めることの狭間で揺れ続ける人の心の葛藤が濃密に描かれている。
宮部みゆきのペテロの葬列。大企業の広報室に所属する杉村はバスジャックに巻き込まれる。動機の裏側には別の事件が。