aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】ローカル線で行こう!/真保裕一 地方赤字鉄道への力強い応援歌

題名からは想像できないほどの肉厚な内容と思い

ローカル線で行こう! (講談社文庫)

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田舎に行くと利用客の少ない鉄道に出会うことは多々ある。

本作の主題もそう、赤字ローカル鉄道。

ひたすら赤字を垂れ流しながらも、沿線に住む住民たちの大動脈となっている路線。

 

そこの社長に31歳の新幹線のカリスマアテンダントが就任する。

県や町の補助金に守られ、タガの外れた経営をしていたローカル鉄道を彼女が再生する。

 

沿線住民を巻き込み、ファンを巻き込み、そして社員の士気すら変えてしまう。

バカにされながらも、おっさんたちから舐められながらも、彼女は突き進む。

 

自分がバカにされても、その欠点を武器として使う。

女性であるからこそ、それ自体を武器にする。

 

また、ローカル線の副社長は県から派遣されている若者。

彼は早く県庁に戻りたいと願いながら、ただ時が過ぎるのを待っている事なかれ主義の人間だった。

 

だが、女社長に影響されて彼は変わる。

本気で、地方のためになることを、沿線のためになることを。

 

一人のひたむきな人間が、まっすぐに突き進む人間が世界を変えていく

そんなお仕事小説。

あきらめの空気

「国と県からの交付金に頼れば、仕事は天から下りてくる」

このような負のあきらめが、赤字の現状を作り上げてしまった。

一度作られた空気をひっくり返すことは難しい。

新しい風が、強い風が吹かなければならない。

一人では立ち向かえなくても、皆であればできることもある。

立ち上がれる人間になれるかどうか。

 

 

「視野が狭く、自分たちの権利を守ることしか考えていない」

視野の狭さというのは話しているだけですぐにわかる。

その場しのぎだったり、目先の対処だけだったり。

視野を広く持っている人間は、短期的な評価にそぐわない。

人の本質を見れているだろうか。

 

誰のために、何のために働くのか

「県庁の上司のために働いているんじゃありません。県民のために力をつくすのが仕事です」

県庁の職員は県民のために働くのだ。

会社に務める人間は、会社のためだけでなく、国のために、ひいては世界のために働くのだ。

自分の仕事に誇りを持っている人間はどれくらいいるのだろう。

給料をもらう手段としてしか仕事をしていないのば寂しい。

 

「お客であふれる駅を見て、喜ばない鉄道マンはいない」

仕事をやっていて喜ぶタイミングはいつだろう。

何かが形になった時、人の役に立った時。

人それぞれいろいろあるだろう。

大事なのはその気持を忘れないことと、続けること。

 

恐ろしいのは無関心という名の責任回避

「人々の無関心こそが、一番警戒すべき事態だと思うのです」

今の社会で、例えば選挙を見てみると、関心が低いのは明らかだ。

投票率が低い。

政治に関心がないというのは、自分の生きている場所に興味がないのと一緒である。

政治家を批判している暇があれば、選挙に行って欲しい。

選挙にいって声を上げて欲しい。

もうすぐ参議院選もある。

いまの残念に見える政治の世界は無関心な我々が作り上げてしまったのだと認識すべきだ。

 

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