aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】無私の日本人/磯田道史 殿様にお金を貸し、貧しい宿場町を救う

貧しい宿場町を救うために、商人が考えた方法は、殿様にお金を貸すこと

無私の日本人 (文春文庫)

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そして、その利息を住人たちに分配すること。

 

これは福祉国家の考え方と全く同じである。

本来は国家側の、お上が考えなければいけない制度である。

それを、不甲斐ないお上に変わって、商人が考えたのだ。

 

江戸時代、人々は自分が暮らすだけで精一杯だった。

その切り詰められた中でも、他人のことを思いやることができる。

そんな心を持っている日本人がいたことを誇りに思いたい。

 

仲間がいなかったわけではない、むしろ町人は皆仲間であった。

資本主義による実力主義が当たりまえになった今の世の中では考えられない光景だ。

日本人が忘れてしまった何かを思い起こさせてくれる一冊。

集団ありきの個という意識

「江戸人は庶民にいたるまで、体面というものの占める割合が著しく高かった」

体面にこだわる。

つまり、自分さえ良ければいいと考えるのではなく、集団の中での自分を強く意識すること。

集団があるからこそ、自分が生きていける。

その集団から離れたくないからこそ、嫌われたくないからこそ体面にこだわる。

 

「少しは、民のことを考えてくださらぬか」

庶民の心の声。

こんなことを言わせた、言わせてしまったということを考えているのだろうか。

自分の管理が行き届いていない、つまり自分が上に立つ意味が無いということを理解できているのだろうか。

下の人間はリスクを背負って発言をしている。

だからこそ上に立つ人間は真摯に受け止めなければならない。

今の社会においてもよくよく考えなければならない言葉だと思う。

 

 

生きる上で大切なこと

「わたしが本を読むのは、きっとこの人生を満たすためでしょう」

人に認められることを望まなかった中根東里の発言。

本を読むと何が得られるのか。

何か間違ったことをしたときに、恥ずかしいと思うことができるようになる。

本は思索を与えてくれる

 

「富などは死ぬまでの、ちょっとした光にすぎない」

資本主義に対して痛烈な批判をしている、そう聞こえる言葉。

江戸時代の人間は今よりも金銭的には貧しかったと思う。

だがそんな中でも富なんて大したことないよという意識を持ちうる。

では、なぜ現代の人々は市場大好き資本主義大好きになってしまったのか。

原点回帰、過去回帰すべきではないのだろうか。

 

「自分と他人のちがいなどありはせぬ」

自分だけを見ているのではなく、もっと広い視野を持つこと。

他人のためになることをすればいつか自分に返ってくるかもしれない。

そもそも他人ではなく、人間という括りで世間を考えたらどうなるのだろう。

もっと暮らしやすくなるのではないだろうか。

心すり減らす必要がなくなるのではないだろうか。

 

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