【読書】世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)/村上春樹 二つの世界を行き来する
「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の二場面で進行
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「世界の終り」は、高い壁に囲まれた世界。
僕はその中で夢を読んで暮らす。
「ハードボイルド・ワンダーランド」は、私が暗号処理のプロフェッショナルとして活躍する世界。
組織と工房が争いを繰り広げる中、老科学者は世界の秘密を守りながら生きる。
そしてその鍵となるのが私。
同時進行しながら進む物語たちはうっすらとつながりがあるようで、無いような不思議な関係を保ちつつある。
果たしてどのような結果で二つの世界は結びついているのだろうか。
それとも全く無関係なのであろうか。
科学の存在意義とは
「科学の悪用は科学の善用と並んで現代文明を危機的状況に直面させておるです。科学とは科学そのもののために存在するべきものだと私は確信しておるのです」
ファンタジーのような世界の中において、科学について語る老科学者。
彼は科学の使用方法について訴えかける。
科学は何のために存在するのか。
便利な世の中にするためであろうか。
何かを解明することと実用化することは別物である。
体の疲労と心の疲労
「疲れは体を支配するかもしれないけれど、心は自分のものにしておきなさいってね」
働き過ぎの現代社会人が覚えておくべき文章。
忙しさのあまり心をすり減らしてしまってはならない。
自分の中での優先順位をしっかりつけることで、自分自身を守らなければならない。
心まで労働として売り渡す必要など全く無いのだから。
「感情のいろんなセクションが不明確になるんだ」
疲れるということを「私」が言語化したもの。
不明確になった頭では上手くできないことも多い。
疲れた時は休むのが必要だ。
標準ってなんだろうか
「世間には実に様々な種類の標準値が満ちている」
標準、平均、普通。
そういった言葉が世の中には溢れている。
そしてそれらから外れている事柄に対して差別が存在する。
だが、普通ってなんだろうか。
固定観念はどこから生まれてきているのだろうか。
無意味な決め付けであることが多い。
他人に認められる必要はない
「本当の天才というのは自分の世界で充足するものなのよ」
世間にひけらかすような人間は偽物だと述べる。
天才という人間は自分の中で満足することを望む。
世間からの評価などは二の次であり、むしろ自分の進むスピードを遅らせてしまう迷惑なものだと考える。
物事の本質を見極めるために、信頼できる人間を見極めなければならない。
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