2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧
池井戸潤の銀行総務特命。勧善懲悪のすっきりとした物語である一方、銀行の組織や人間に問いかけを放つ。社会に、もう一度考える心を。
折原一のグランドマンション。グランドマンション一番館には変わった住人がたくさん住んでいる。終盤にはすべてが繋がる快感を得られる一冊。
真保裕一のローカル線で行こう!。テーマは赤字ローカル鉄道の再生。一人のひたむきでまっすぐに突き進む人間が世界を変えていく。
橘玲のタックスヘイブン。有名ファンドマネージャーの死の裏側に何が隠されているか。権謀術数渦巻く中でいかにして生き残るか。
筒井康隆の文学部唯野教授。大学教授の日常をコミカルに描く。コミカルな日常の中に、急に文学論、形而上学などが入ってくる。
柳広司のジョーカー・ゲーム。強靭な精神と緻密な思考力が求められるスパイという職業。彼らの生き様に迫る。
速水健朗の東京どこに住む?。東京には人が集まる。匿名性の中に、近隣の付き合いやグループができるといった可能性がある。
京極夏彦の姑獲鳥の夏。ワトソン視点が客観性を損なうことが本作の特徴。自分の脳に錯覚させられていないだろうか。
森博嗣のやりがいのある仕事という幻想。仕事の中にやりがいを無理やり作るのではない。仕事は義務ではないのだから。
舞城王太郎の九十九十九。作中作がひたすら繰り返し、自分がどこの視点にいるのかわからなくなる。小説の真骨頂。
村上春樹の世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)。作られた世界の中で生活する僕と、意識が失われつつある私。
村上春樹の世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)。同時進行で進む物語たちは、つながりがあるようで、無いような不思議な関係。
竹本健治の匣の中の失楽。メタ的視点が含まれるミステリ。現実と虚構の狭間で自分自身の立ち位置を探る。
野口悠紀雄の「超」整理法。1993年の本であるが、時代遅れでは全く無い。むしろ現代も同じ悩みを抱えている人は多い。
田中康夫のなんとなく、クリスタル。昔の若者の内面を描く。意外と現代と変化がなかったりする。時代を写す小説。