【読書】スコーレNo.4/宮下奈都 あなたはいつ、少女から大人になりましたか
派手なところは一つもない。だが、この本を読み終えると前向きな気分になる。
そこだけは保証したい。
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スコーレとは学校という意味だ。
何かを通じて学び、成長していく。
本作の主人公、麻子にも人生のスコーレが4つある。
中学、高校、大学、就職を通して、少女から女性へと変わっていく。
自由奔放で綺麗な妹、七葉に比べて、自分は平凡だと思っている麻子。
そんな彼女が悩み苦しみながらも成長する姿を書き上げた一冊。
人は悩む。
傍から見たらつまらない悩みかもしれない。
だが、乗り越えるまではつらいのだ。
恋人のこと、仕事のこと、人付き合いのこと。
悩みの原因はたくさんある。
だが、乗り越えてしまえばそれは強さに変わる。
悩みがあって良かったと心から思えるようになるのだ。
この本の中にも、きっと読者が共感できるスコーレが詰まっている 。
それは読む人によって違ってくるだろう。
学生時代なのか、社会人なのか、何に悩んでいるのか。
美しくまた優しいながらも背中を押してくれる、そんな本だと思っている。
食わず嫌いはもったいないかもしれない
「完成したディスプレイに働き出して初めての達成感があった」
麻子は貿易会社に入社した。
だが初めの2年間、靴の小売店への出向を命じられた。
そこで彼女は望んでいた業務とは全く違うことをやらされ、仕事に嫌気がさしてきた。
だがある日、彼女は皆に提案する。
少しずつ、靴のことがわかり、なおかつ店を変えるために何かしたいと言い出す。
その結果として、ある種の達成感を得た。
あまり好きじゃないものでも、彼女はめげずに頑張った。
その結果として得られた成功体験である。
こういうことは誰にでもあるのだろう。
好きという形は多種多様
「こういう愛し方も多分あるのだ」
人の好みは人それぞれである。
靴が好きな人はたくさんいるが皆、何が好きかは違うのだろう。
靴に触れているのが好き、靴を履いているのが好き、靴を選ぶのが好き、靴を見ているのが好き。
好きにも色々な形がある。
皆、一緒くたにまとめる事は出来ないのだ。
それを改めて気づかせてくれた。