【読書】名もなき毒/宮部みゆき 社会というものは、常識を持った人たちで構成されている
人間たちに潜む毒とは何か
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杉村シリーズ第二段。
今度は、広報室内にトラブルメーカーが現れた。
そして並行して起きる無差別殺人事件。
そちらにも杉村は首を突っ込むことになる。
世の中には理解不能なことがたまに起きる。
そんなとき人はどう対処すればいいのか。
どうやって耐え切ればいいのか。
杉村視点から、人間社会の闇が見える。
事件の影に見え隠れする人間たちの毒に驚愕しながら読み進める一冊。
社会というものは、常識を持った人たちで構成されている。
そういう前提で成り立っている非常に危ういものである。
もし、その前提が崩れるようなことがあればどうなるか。
この本を読んで感じることがあるはずだ。
社会に向けた言葉たち
「物事をはっきり言う人物が、必ずしも毒舌であるとは限らない」
はっきりいうことが毒が含まれているとイコールではない。
口調ではなく、中身。
本質をしっかりと見極めることが求められる。
「広い世間には、我々の常識の範囲内では理解できない思考を持ち、
その思考に沿った行動をとる人物が、我々が漠然と予想しているよりもはるかに大勢いる」
たくさんの人と合うと、皆多様な価値観や考えを持っていることに気づく。
そして全く理解できない思考の持ち主にも会うことがある。
理解できない人と次も会おうとすることは少ないが、逃げられない環境にいる場合もある。
職場や学校といった集団においてだ。
そういうリスクを面と向かって考えることは少ないが、考慮すべきではある。
「嘘と真実の際を見抜いて使いこなすのが、上に立つ者の役目だ」
管理職の仕事とはこういうもの。
各個人の本質を見抜き、組織として上手く使う能力が求められる。
それは使われる能力とは全く違うものである。
管理職と平社員は異なった能力を求められるのに対し、管理職になれるのは平社員で優秀な成績を修めなければならない。
果たして有能な管理職とはどれほどいるのだろうか。
そして使われる側としても、管理職に対し、ある部分では諦めを持っていることも必要かもしれない。
「ダメですねぇ、人間て。自分に関係ないことだと、すぐ忘れる」
人間は興味の有無で左右される。
仕事に対するモチベーションだってそう。
興味のない事に対し、頑張り続けることは不可能だ。
いかに興味のある仕事に皆をつけるか、それが経営というものなのだろう。
「禁忌を犯してふるわれる権力には、対抗する策がないんだ」
杉村の義父、会長の一言。
ルールの範囲外に出てしまった権力というものは、どうしようもない。
自分たちのルールの外側で起こるものに対し身を守るすべは非常に少ない。
そもそもルールとは、皆が常識として守るということが前提にあるのだから。
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