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【読書】放課後/東野圭吾 容疑者は学校という名の得体の知れない集団

東野圭吾のデビュー作、江戸川乱歩賞を受賞した青春小説

放課後 (講談社文庫)

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題名の通り、舞台は高校。

主人公は高校教師であり、アーチェリー部の顧問をしている。

生徒から付けられたアダ名はマシン。

何事も淡々とこなし、深い付き合いを好まない性格が由来している。

 

そんな彼が勤める学校で事件は起こる。

密室の更衣室の中で教師の死体が発見される。

犯行動機も、密室を解く手がかりも得られないまま時は過ぎる。

 

この事件が起こる前、何度か主人公は命の危険を感じていた。

偶然ではないかと思っていたのだが、あまりにも頻繁に殺されかける。

 

刑事に相談するか否か迷っている間にも、第二の殺人事件が起きる。

今度は、体育祭の仮装行列で殺人がおきる。

殺された教師が担っていた役は、直前まで主人公がやる予定であった。

 

本当に狙われたのは誰か。

そしてその目的は。

 

主人公が顧問を務めるアーチェリー部の部員たち。

彼女らは主人公のことを信頼している。

少女らしさと大人らしさの狭間で揺れ動く。

若さゆえにわからないこともあれば、若くてもわかることもある。

さまざまな人間の葛藤を描いた本作。

 学校という不思議な集団

「容疑者は学校という名の集団。得体の知れない人間達の集団だ」

学校というのは、年齢が一緒というだけの括りで集まった集団である。

そしてこの集団が独特なのは、少なくとも数年間、一緒にいなければならないということ。

つまり、逃げ場がないということだ。

通常の集団であれば、気に入らなければ離脱することができる。

家族のような集団はまた別であるが、不特定多数の集まりなのに逃げられない。

だからこそ目立つことは避け、嫌われることを避けるようになる。

 

 

頼る先は自分

「我々凡人はさあ勝負となった時、何かよりどころが必要だってことだ」

人は何かに頼りたがる。

本当に頼りにならなくても、頼るのだ。

自分しかいない場合には、自分の今までと向き合い、その経験を頼りにする。

自信というのは経験の積み重ねであり、人は過去の積み重ねで生きていく

あとから振り返ると一瞬。

でも努力し続けることは難しい。

後で後悔するという言葉でどれだけ身を奮い立たせられるか。

 

「自分に今できることは何なのか、それを考え続けてさえいればプレッシャーも迷いもない」

まずは手の届く範囲で、無理をしない範囲で行動する。

手探りで遠くまで手を伸ばすよりも、少しずつ少しずつ広げていくことが大切なのだ。

焦らず、一歩一歩前に進むことが実は一番早かったりもするのだ。

 

大切なものとは何か

「彼女達にとって最も大切なものは、美しいもの、純粋なもの、嘘のないものだと思います」

女子高生にとって、もっとも大切なものはなんだろうか。

高校生と言い換えてもいい。

純真無垢な少年少女たちは、何を大切にするのか。

裏切られたことのない彼らは、信じることを大切にする。

そしてそれが間違っていた、裏切られたときに、反転する。

オトナになるということは、一種の諦めに似た感情を知るということかもしれない。

 

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