aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】貘の檻/道尾秀介 読者に考える時間と空間を与える、それが小説なのだ

小説の良さがココに詰まっている

貘の檻 (新潮文庫)

新品価格
¥853から


この本は何と紹介したらいいだろうか。
なかなかいい言葉が見つからない。
長編ミステリーであるが、それだけではない。
小説の良さがココに詰まっている。
 
良い小説とは何だろうか、そもそも小説の魅力とは何だろうか。
それは読者が想像力を働かせるところにあると私は思う。
 
 
本作はミステリーの体系をとっている。
しかしながら合間合間に夢の世界が挟まっている。
純粋にミステリーとして読んだならば、それらの シーンは邪魔なものかもしれない。
逆に言えば、この小説はそれだけでも十二分に楽しめる。
 

 

皆が少しずつ少しずつ誤解をして生まれた大きな差。
それは悲しい事件へと豹変する。
登場人物たちが互いに少し、ほんの少しだけの読み違えだったのだが。
道尾秀介の上手さがここにある。
そして夢のシーンは何のためにあるのか。
それは僕も良く分かっていない。
ただの謎解きあれば、小説の形をとっている必要はない。
謎が解けることだけを魅力として捉えるのはいささかもったいない。
より想像力を広くすることで、この作品は化ける。
くっきりと解決するのではなく、読者に考える余裕を与える、それこそが小説。
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【読書】サーモン・キャッチャー the Novel/道尾秀介 君の人生は、たいしたものじゃない。でも、捨てたものでもない。

大したことないさ

サーモン・キャッチャー the Novel

新品価格
¥1,620から

場末の釣り堀から始まる事件。

冴えない6人の人生が絡まり合い、もつれ、転回する。

 

釣り堀でバイトをする女の子。

釣り堀で神と呼ばれるおじさん。

引きこもりの青年とその妹。

健康ランドに住んでいる便利屋のおっさん。

孤独の末、何かしたくてたまらないおばさん。

 

一見無関係な彼らには、様々なつながりがある。

新たに繋がりができることもある。

彼らが見せる、つながることの奇跡は感動を呼び起こす。

 

人の人生は他人との繋がりによって生まれる。

弱い繋がり、強いつながり。

そう、すべては連鎖する。

この本で描かれる小さな世界は、現実にも生まれる。

世界はすべてつながっているのだから。

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【作品リスト】ifの世界を華麗に描く、優しさに溢れた作家、道尾秀介

日常の中に見え隠れするほんの小さな選択。

その選択の結果、何か大きく変わる。

そんなことがあるかもしれない。

ifの世界を華麗に、切なく描く作家、それが道尾秀介

 

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透明カメレオン/涙が止まらなくなる、優しさに溢れた一冊

寂しさを抱えた仲間たちが集う場所。

彼らの背中を押すラジオのDJ。

人間の優しさに触れる。

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笑うハーレキン/世界は突如反転する

自分の存在を認めてもらうことの大切さ。

そして仮面の役割は重要なのだ。

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スタフ/事件の裏には隠された皆の想いが

人は寂しさを抱えて生きている。

どうやって言葉にしていいのか、分からないこともある。

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カラスの親指/騙された、そして元気のでる一冊

人は一人では生きていけない。

助け合い、手を取り合い、生きていくのだ。

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鏡の花/たった一つの選択が

ifのストーリーが積み重なる一冊。

過去の選択、ボタンの掛け違いで変化は生まれる。

時としてそれは信じられないほど大きく。

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球体の蛇/嘘が嘘を呼ぶ

一度嘘をつくと、それを隠すために更に嘘をつかねばならない。

その繰り返しで人は後戻りできなくなる。

蛇のように絡み合う。

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ラットマン/すれ違う思い

お互いの気持ちがすれ違い。

錯覚し、そして思い込む。

その結果、事件は起こる。

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カササギたちの四季/嘘に包まれたカササギたちの事件

名探偵カササギは事件を解決する。

しかしながら、すべては誰かがプロデュースしているのだ。

 

 

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