【読書】サーモン・キャッチャー the Novel/道尾秀介 君の人生は、たいしたものじゃない。でも、捨てたものでもない。
大したことないさ
新品価格 |
場末の釣り堀から始まる事件。
冴えない6人の人生が絡まり合い、もつれ、転回する。
釣り堀でバイトをする女の子。
釣り堀で神と呼ばれるおじさん。
引きこもりの青年とその妹。
健康ランドに住んでいる便利屋のおっさん。
孤独の末、何かしたくてたまらないおばさん。
一見無関係な彼らには、様々なつながりがある。
新たに繋がりができることもある。
彼らが見せる、つながることの奇跡は感動を呼び起こす。
人の人生は他人との繋がりによって生まれる。
弱い繋がり、強いつながり。
そう、すべては連鎖する。
この本で描かれる小さな世界は、現実にも生まれる。
世界はすべてつながっているのだから。
人は生きる目的をもつ
「何でもいいから人生の目標や目的と呼べるものが欲しかったのだ」
釣り堀で釣った魚で景品を得る。
彼はそれが目標だった。
小さいけれども、何かしらの目的が欲しい。
何でもいいのだ、それがあることが大事。
現実から目をそむけたく頑張る1ページ
「人生には、誤魔化してうやむやにできることと、できないことがあるのだと知った」
彼女は現実から目を背けるべく、行動した。
約1ページぐらいだろうか。
だが、その現実は変わらなかった。
うやむやにできない現実がそこに鎮座していた。
世界は言語で狭められたりなどしない
「言葉なんて、本当は必要じゃないんだ。言葉がなくても、気持ちが伝わればいい」
本作には不思議な言語を使う外国人たちが登場する。
それに向かって立ち上がる父親。
言葉じゃない、気持ちで立ち向かう。
人間とは感情がある生き物なのだから。
関連記事