aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】ケモノの城/誉田哲也 奴らは人間ではありません中身はケモノです

小説でしか描けなかった現実

ケモノの城 (双葉文庫)

新品価格
¥820から

警察は、自ら身辺保護を求めてきた少女を保護した。
彼女には暴行を受けた後があった。
その後、少女と同じマンションの部屋で暮らしていた女性を傷害容疑で逮捕する。
しかし彼女にもまた暴行を受けていた傷があった。
やがて少女は言う。
父が殺されました。
事件は思ったより大きく、そして深く暗いものだった。

 

闇の中で光を探した、被害者たち。
彼らの行動はひどく狭い視野に基づくものだった。
加害者はそれを見越した上で様々な行動を取っていた。
マンションの一室という密室の中で何が起こっていたのか。
最後まで目をそらさずに読むことが出来ますか。

不気味な男、ヨシオの存在 

「暗い、秘密箱の中。そこから覗いていたのはやはり、ヨシオの顔だった」
証言の中から出てくるヨシオと言う男。
彼は何者なのか、そして誰なのか。
周りの人々が怯えている。
それだけははっきりとわかる。
依然として姿は見えてこない。
 

 

残虐な男、ヨシオは感染る

「ヨシオは感染する」
暴行の被害者であったはずのアツコ。
彼女は徐々に姿を現す。
ヨシオという男の考え、そして言葉の数々。
それらを語る彼女にはまさにヨシオが憑依しているかのように見えた。
彼女はヨシオの分身のような気がする。
ヨシオは感染するのではないのだろうか。
 

信じたくない世界、信じがたい世界

「社会との断絶。家族同士の分断。信頼を失われ、常識は否定され、そこは衣食住の全てを掌握する、ヨシオという名の鬼神を祀るためだけの世界になっていた」
ありえない世界。
全てを一人の人間によって支配される。
その環境下で人間はどういう振る舞いをするのか。
徐々に獣に近づいていく。
支配者にいかに取り入るか、支配者にいかに目をかけてもらうか。
まるで獣のようになってしまうのだった。
 

関連記事

aichikenmin-aichi.hatenablog.com

aichikenmin-aichi.hatenablog.com

aichikenmin-aichi.hatenablog.com