【読書】アキラとあきら/池井戸潤 勧善懲悪、これぞ池井戸潤
二人のアキラ、彼らが全力で生きる物語
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零細企業の息子、山崎瑛。
そして大手海運会社の御曹司、階堂彬。
生まれも育ちも違う二人は、互いに重たい運命を背負って生きてきた。
2人が出会ったのは銀行、彼らは同期であった。
彼ら二人が運命に抗いながら、必死に耐えながら生きて、その結果として彼らの人生は交差する。
その時、かつてない試練が降りかかる。
逆境に立ち向かう2人のあきら。
人生を賭けた戦いがスタートした半沢直樹を彷彿とさせる。
勧善懲悪そしてアクロバティックなバンカーの物語、いや経営者の物語。
金貸しという重み
「たった一日でそれまで日常だったものがはるか遠くへ過ぎ去ってしまった」
あきらの父親がやっていた町工場。
銀行からの融資打ち切りにより倒産に追い込まれてしまった。
家族は皆で夜逃げをし、父親は債権者からの交渉に耐える日々。
銀行の行動ひとつで人の人生は簡単に変わってしまう。
重さをそこで知ったのだった。
過去の成功からの脱却
「考えようとしないからだ。もう一つ言うと挑戦しないからだ」
過去の成功にとらわれ、その枠組みから逃れることができない。
だが世の中の環境は変わり続ける。
過去は過去、今は今。
新しいことに常に挑戦しなければならない。
過去の栄光にしがみついている人間はただただ邪魔なだけなのだ。
それこそが思考停止を生み出す。
何のために、誰のために、それこそがバンカー
「同じ金を貸していてもバンカーの貸す金は輝いていなければならない」
銀行員は何のためにお金を貸すのか。
その意味はどこにあるのか。
金に色をつける。
それは想いをのせ、人に届けるということなのかもしれない。
そのお金が将来何のためになるのか、何の役に立つのか。
そこまで考えてこそ立派な銀行員なのかもしれない。