【読書】公益資本主義/原丈人 経済は文化を作り技術は政治を作る。しかし人間の本質は変わらず
何十年もの時間と巨額の投資を必要とする技術はアメリカからはもう出てこない
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会社は何のためにあるのか。
株主のため、そう考えるのが資本主義。
もう少し広い目でとらえてみる。
会社は、社会の公器である。
こう捉えるのが公益資本主義。
著者は主張する。
株主の利益を見据えるだけでは、何もできない。
短期的な利益を必死に追い求め、長期にわたるプロジェクトなんぞには目もくれない。
だが、それは正しくない。
株主以外のステークホルダー、従業員や地域社会、消費者もそうだ。
それら全てにとって意味のあるものにすること。
それが社会のためになる会社である。
主義が仕組みを作り、仕組みが会社を動かす
「会社は株主のものとする考え方そのものが現在の経済危機の原因となっています」
会社の目的は何か。
それは株主の利益を上げること、その一点のみとされている。
株主資本主義、その結果として従業員や顧客の利益はないがしろにされる。
中長期的な目線に立った会社経営。
それができる仕組み作りから必要なのだ。
株主だけを見る会社、それは正しいのか?
「元々日本では、会社は構成員である経営者や従業員のものという意識が強く、むしろ外部に入る株主が経営を監視するという考えは希薄でした」
米国式の株主の為に会社が存在するという考えは、日本に入ってきたのはつい最近のことだ。
様々な不祥事が相次ぎコーポレートガバナンス、スチュワードシップコードという概念が入ってきてしまった。
株主の責任として、会社に対してしっかりと監督責任を持つこと。
逆に言えば株主の義務が増えたことで権利も拡大する。
ひたすら株主の方を見て仕事をする 会社が増えてしまった。
トヨタは一歩先に行く
「持続的成長を実現するための競争力強化、中長期視点での研究開発投資」
トヨタは2015年、種類株を発行した。
国内で中長期の個人株主を獲得し、彼らを優遇するための仕組みである。
目線は少しずつ変わってきた。
短期ではなく中長期。
どこまでそれが成長するのだろうか。