【読書】宇宙のあいさつ/星新一 地球とかいう星の住民たちの実態
星新一のショートショート
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本作は宇宙成分が多く含まれた作品群。
宇宙人から見た地球人の振る舞い。
地球人から見た宇宙人の奇妙な点。
それらがチクリと刺さる風刺になっている。
文明が栄えすぎた地球。
その結果として滅びてしまったり、人間が人間らしく無くなっていたり。
逆にもっと栄えた宇宙人の文明に食い荒らされたり。
柔軟な発想とSFの殻を被った社会批判。
こんなにおもしろいとは。
技術の発達による不幸
「それ以上に貧乏にならなくてすみ、なんとか生活をつづけることができた」
技術が発達していなかった昔は、多少失敗したところで全てが終わることはなかった。
車のような便利なものがなかったおかげで、事故で死ぬこともなかった。
マスコミに持ち上げられて調子に乗って、そのまま没落することもなかった。
どちらが幸せだろうか。
外面を過度に意識する地球人
「地球という星では外をかざることに熱心だが、ここでは内部を充実させることに熱心なだけです」
地球外の生命体からみた地球人へのコメント。
外をかざることに熱心。
見た目を重視することに注力しすぎて、中身は伴わない。
そんな残念なこと、少しは思い当たるような気がする。
豊かさ≠景気の良さ
「生産があがっても、大衆の消費がともなわなければ、どうしようもない」
産業の発展により生産技術はあがる。
だが、買う人がいなければ何もならない。
そのために需要を作り出す。
果たしてそれは正しいあり方なのだろうか。
そうまでして作る必要があるのだろうか。
無意味な成長を追い求める必要はどこにあるか。
個性を消しつつある人間たち
「いつのまにか世の中が、平凡化の一途をたどりはじめている」
人は徐々に均質化されていく。
一億総中流といったような平均を求める。
ダイバーシティ、多様化といいながらも。
徐々に機械に近づいている人間に警鐘を鳴らす必要はないのか。
今は正しく見えたとしても
「われわれのように後世の者から見れば、過去のすべてが、ばかばかしく見える」
後の者から見ればおかしなことをやっている。
そんな現実はあるかもしれない。
だが、そんな中でも我々は一生懸命生きている。
今を良いものにするために。
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