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20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】人口と日本経済/吉川洋 人口が減り日本経済はどうなるのか

少子高齢化社会が進み、日本の人口は減少の一途をたどると予測されている

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

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人口が減り、日本は衰退するという。

果たしてそれは必然なのだろうか。

 

人口は力である。

働く人が多ければ多いほど国は豊かになっていく。

一見、分かりやすい論理だと思う。

 

しかしながら著者はそれを否定する。

工業社会であった昔は、労働力=国力であった。

いまはもう違う。

なぜなら、機械化が進み、情報社会になり、単純な世界ではなくなったのだ。

 

労働力の増加よりもイノベーションが求められる。

しかもイノベーションは技術革新だけではない。

いかに需要を喚起するか、それが主なのだ。

 

日本に蔓延する悲観的な未来を考え直すキッカケになるかもしれない

「日本では人口減少が大問題だが、地球全体で見ると、いまだに人口増加が問題である」

日本はレアケースなのだ。

地球全体でみると人間は増加している。

増やすのを止めることは難しい。

減るのを止めるのも難しい。

だが世界から見たロールモデルになる可能性を秘めている。

「経済学者は、例外なく、人口が多いこと、人口が増えることはよいことだと考えていた」

国が栄え、富が増えることによる結果としての人口増加。

それが人であり、国の資産なのだと。

だが、それがなぜ現代には適用できないのだろうか。

「20世紀は、旺盛な投資に期待できない」

昔は潤沢な投資機会がそこらかしこに転がっていた。

だから富を持った人間が更なる投資を繰り返し、その結果として国が豊かになっていった。

それが資本主義の結果であり、成果であった。

今は、稼いだ所得を貯蓄に回してしまう裕福層から再分配をする手段を講じなければならない。

前提が違うのだ。

需要を引き出すためにどうするか。

「ノウハウや経営力などソフトな技術が重要なのである」

スターバックスのように、特段技術があるわけではない、でもブランド力の革新により世界を座巻した。

いかにして付加価値を生み出し、需要を創出するのか。

それがこれからの伸びの方法である。

「人々は機械のおかげで豊かになってきたのである」

そして付加価値を作るためには便利な機械を使って効率よく生み出すことが必要である。

機械に仕事を奪われるというような敵対心を煽るのではなく、共存して助けてもらうことを考えるべきだ。

なぜなら立ち位置が違うのだから。

 

 

そもそも経済とは何のために存在するのか

「価格とは、人間がモノやサービスに対して主観的につける点数なのである」

経済とは人間が勝手に作り出した自分本位なものである。

自分がマイナスだと思うことを予防したり防いだりするために経済を利用する。

生きる以上のものを人間が欲するが故。

 

「経済成長だけが幸福の源泉ではない」

経済という形の無いものに対し、ひたすら成長を追い求める。

その姿は資本主義という前提があってこそであるが、そもそも成長する必要はあるのだろうか。

むしろ現状維持で何が悪いのか。

変化率ではなく、絶対値で評価して何が悪いのだろうか。

何が幸せなのだろうか。

ひたすら数値目標だけを追い求め、小手先の技術に頼り、その結果日本国民は幸せになれるのだろうか。

アベノミクスは果たして日本を幸せにするのだろうか。

 

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