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aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】問題は英国ではない、EUなのだ/エマニュエル・トッド 21世紀の新・国家論と題した本作

今まで数多くのデータに基づいた予言をしてきたトッドの最新作

問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書)

新品価格
¥896から

イギリスがEUを離脱することの意味を彼は西側システムという概念の終焉だと語る。

自由主義個人主義の筆頭であったアメリカ、そしてイギリス。

世界をリードしてきた資本主義の片翼をになっていたイギリスは、何を憂いたのか。

それは、イギリス人にとってに自由の観念が血肉化されているから。

自由たるために 

「彼らの眼にユーロ圏は、反民主主義的な権威主義的逸脱の空間と映るのです」

EUにおいてドイツがその筆頭である。

だが、経済的なカタストロフに巻き込まれることはイギリス人にとって許容できるものではない。

自由を謳う彼らにおいて、ドイツの動きに我慢することができなかったのだ。

ドイツに支配されているヨーロッパに対し立ち上がった結果なのだ。

 

 

個人としての限界はどこにあるか

「社会は存在している。我々は我々として存在しているんだ」

英国EU離脱において発せられたイギリス国民の叫びだと著者は言う。

昔、個人の力を重要視したイギリス人たちが、考え方を変えている。

この力だけで生きていくためには、バックアップとして社会の力が必要である。

そのために社会は存在していなければならない。

それがそれこそが個人主義の世界であるから。

 

数字の裏側を読み解く

「数値はもともと比較を前提にしているものですから、必然的に比較へと導かれる」

統計やデータは数値として現れてくる。

その数値の裏側には、社会、そして人間の活動が隠れている。

その裏側を、数値を通して調べるのが比較学者たるエマニュエル・トッド

 

人間は新しいことを受け容れることが苦手

「発見された事実は時に人々に拒まれます」

人々は自分が理解したくないものから目を背けることもある。

研究者が認められなかったり、異端視されたりするのは、必然的なものかもしれない。

それが人間の根本にかかるものであればあるほど。

その経験を通り越してまで、なお、研究を続ける人がどれほどいるのだろうか。

研究者の力、育成を掲げる国において、何が必要なのだろうか。

 

個人と国家は隣り合わせ

「個人とより大きな社会構造には、相互補完関係があるのです」

核家族と直系家族。

核家族は人との繋がりを極力小さくし、個人そのもののあり方を尊重する。

しかしながら、それらの人は社会による福祉に守られているのだ。

核家族社会であるためには、社会福祉が最低限充実していなければならない。

個人主義であるからこそ、国家という構造が必要になる。

 

中国とは何なのか

「彼らの進路を決めてきたのは、中国の膨大な人口を安価な労働力として使ってきた西洋のグローバル企業なのです」

中国の台頭におびえているようなニュースが流れる昨今。

しかしながら中国は自ら動く国家としての機能を持っているのだろうかと著者は疑問視する。

中国がなぜ栄えたか、それは使われてきたからだ。

安い労働力を武器に、西洋の手足となってきた。

だが、他国に勝つためにはそれだけでは不十分。

自分たちの頭で考え、選択をしていかねばならない。

果たしてその経験が充分にあるのかどうか。

過度に怯える必要はないかもしれない。

 

自国を愛するということは声をあげること

「自国に十分な能力がないときには、それを率直に認め、能力がないことを直言することこそ、愛国者の務め」

盲目的に信じることが愛国者ではない。

自分の国のことを真剣に考え、時に苦言を呈することができる人が真の愛国者である。

愛するという言葉は思っている以上に重たいのだ。

 

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