aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】ジグベータは神ですか/森博嗣 宗教と人間の意識

またまた出てきた真賀田四季、今回は紅子も

ジグβは神ですか JIG β KNOWS HEAVEN Gシリーズ (講談社文庫)

棺に納められていたラッピングされた女性の死体。
それが発見されたのはベータと名乗る教祖を仰ぐ宗教団体の施設であった。

 

調査に訪れた探偵は加部屋達と偶然の再会を果たす。
そしてあちらこちらに見え隠れする真賀田四季の影。
真賀田四季にそっくりな人間が一人、人形も一つ。
天才とのつながりはどこに。
西之園が、瀬在丸が、別々の世界で動いていた彼らが再び相見え、天才に挑む。
面白くなってきた。

事件の影には真賀田四季 

真賀田四季ですね」
棺の中から発見された人形。
それは誰かに似ている。
そう真賀田四季であった。
なぜ、ここに彼女が。
教団の中に、彼女がいるのか。
そしていつ我々の前に姿を表すのか。
 

宗教は理由付け

「どうして人間は宗教に頼るのか」
加部屋の疑問に海月が答える、懐かしい問答が出てくる。
人間同士の戦争の理由はどう作られるか。
敵は個人ではなく、相手が信じている宗教。
そうすることで、集団で人を動かすことができる。
その宗教自体が全て間違っていると考えることこそ、相手を同じ人間ではないと思い込む術であるのだ。
 

 

常識とはどこに存在する?

「異常を平均したものが常識という幻想だと言ってもいい」
常識とは幻想である。
なぜなら、常識と決めているのは大勢の人間達の無意識である。
そこになんの定義もない。
だから常識というものは存在しない。
あくまでそれは便宜的な平均値である。
それを勝手に常識と言って、異常を特別なものとしているだけなのだ。
異常の側に属していないことを理由に、自分が安心するための方便でしかない。
 

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