【読書】ジグベータは神ですか/森博嗣 宗教と人間の意識
またまた出てきた真賀田四季、今回は紅子も
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棺に納められていたラッピングされた女性の死体。
それが発見されたのはベータと名乗る教祖を仰ぐ宗教団体の施設であった。
調査に訪れた探偵は加部屋達と偶然の再会を果たす。
そしてあちらこちらに見え隠れする真賀田四季の影。
真賀田四季にそっくりな人間が一人、人形も一つ。
天才とのつながりはどこに。
西之園が、瀬在丸が、別々の世界で動いていた彼らが再び相見え、天才に挑む。
面白くなってきた。
事件の影には真賀田四季
「真賀田四季ですね」
棺の中から発見された人形。
それは誰かに似ている。
そう真賀田四季であった。
なぜ、ここに彼女が。
教団の中に、彼女がいるのか。
そしていつ我々の前に姿を表すのか。
宗教は理由付け
「どうして人間は宗教に頼るのか」
加部屋の疑問に海月が答える、懐かしい問答が出てくる。
人間同士の戦争の理由はどう作られるか。
敵は個人ではなく、相手が信じている宗教。
そうすることで、集団で人を動かすことができる。
その宗教自体が全て間違っていると考えることこそ、相手を同じ人間ではないと思い込む術であるのだ。
常識とはどこに存在する?
「異常を平均したものが常識という幻想だと言ってもいい」
常識とは幻想である。
なぜなら、常識と決めているのは大勢の人間達の無意識である。
そこになんの定義もない。
だから常識というものは存在しない。
あくまでそれは便宜的な平均値である。
それを勝手に常識と言って、異常を特別なものとしているだけなのだ。
異常の側に属していないことを理由に、自分が安心するための方便でしかない。