aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】22年目の告白 私が殺人犯です/浜口倫太郎 殺人犯の告白本とそれを通じて見える社会の怖さ

連続殺人犯の告白本

22年目の告白-私が殺人犯です-

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¥3,869から

編集者、川北の前に突如現れた青年、曽根崎。
彼から預かった原稿は時効となった連続殺人事件の犯行を告白したものだった。
その残酷な犯行を記録した「私が殺人犯です」はたちまちベストセラーとなり、曽根崎は世間を挑発し続ける。
社会を相手にした彼の行動タブーに挑む。
藤原竜也主演の映画も公開されている話題作。

 

一言で言うと読んで欲しい。
絶対に後悔はしないと思うから。
最後まで目をそらさずに読み切った時、この作品の本当の姿が見えてくる。
途中残虐なシーンが入っていたり、目を背けたくなる時もある。
映画版でも小説版でもそうだ 。
だが、それでも最後まで頑張って欲しい。
男の生き様というものが見えるから。

言論の自由、モラルの欠如、本質はどこにあるか?

「文学とは、本来公序良俗に反するものだ。 文豪らしい不遜な態度をとった」
殺人犯の告白本を出すと言う行為。
果たしてそれは言論の自由によって守られるべきものなのか。
それともモラルの欠如ということで非難されるべきことなのか。
そもそも時効というものの存在によって一定期間が経った後は罪を許されてしまうという司法の限界というものではないだろうか。
また、魅力的な曽根崎に対し無批判に群がる民衆達。
冷静に考えてみると恐ろしい社会の動きだと思う。
だがそれを今の世界に絶対にありえないと信じることができない。
なぜなら劇場型とも言えるマスコミの使い方のうまさ、そして過激な発言をする人間たちが持ち上げられている昨今、これと同じことが起こらないと誰が言い切れるだろうか。
 

 

本としての魅力だけでなく、外側での魅力

「あんな話題性だけのくだらない本がヒットするなんて世も末だ」
話題性、それは本の中身の文章とはかけ離れたものである。
著者のスター性、世間での反響、物珍しさ、それらを複合的に加味した結果、売れた本なのだ。
なのでそれに対し違和感を抱く人間が多いのも事実である。
それを逆手に取った狡猾な犯人である。
 

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