【読書】十角館の殺人/綾辻行人 ミステリーの王道、孤島で起こる連続殺人事件
ミステリーの名手、綾辻行人のデビュー作
新品価格 |
トリックとどんでん返しといえばこの人。
なるほど、そう来たか!と唸ってしまう一冊。
孤島に大学生が7人訪れる。
その孤島にある屋敷、十角館。
彼らはそこで、順番に殺されていく。
まるでアガサ・クリスティーのそして誰もいなくなったのように。
半年前にその孤島では4つの殺人が行われていた。
そしてその場にいたとされる人間が一人行方不明。
その人間から大学生たちに手紙が届いていたことが判明する。
内容は、私の娘を殺したのは君たちだという糾弾するものだった。
犯人は誰か。
トリックは何だ。
最後まで息をつかせないまま走り抜ける。
そして誰もいなくなったと違うのは、島の中だけでなく、島の外でも物語が動くこと。
同時並行で進む彼らの物語は、いつのまにか一つになる。
舞台はからくり屋敷
「からくり趣味のようなものがあったというんだ」
物語は十角形の形をした屋敷で始まる。
その館を設計したのは、そこで焼身自殺を図った中村青司。
果たして、その屋敷に隠されたからくりとは一体なんだろうか。
事件が起こるからミステリは存在する
「俺は、人が殺されちまってから、あたふたと論理を組み立てるような名探偵どもは嫌いなんだ」
探偵も刑事も、事件がおこってからがスタートだ。
確かに物語としては、一番わかり易いし、臨場感も出る。
だが、本当は未然に防ぐのが、世界にとって一番いい答えなのだ。
そんなミステリーは無いのだろうか。
想像力は命
「退屈凌ぎ大いに結構じゃないか。多忙の中で想像力を死なせてしまうことに比べたら、よっぽど健全だと僕は思うねえ」
この言葉、身にしみる。
人は忙しくなると、考える時間が減り、やがて考えるのをやめてしまう。
そうなってしまっては、良くないのだ。
人が思考を止めてしまったら、生み出される付加価値というものは霧散する。
忙しい人は、ふと手を止めて、思索に励むべきなのだ。
僕はこの文章を書いている時が、思索の時間。
関連記事
aichikenmin-aichi.hatenablog.com