aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎 ミステリーが創る。煌めく奇跡の瞬間を。

友愛のストーリー

アイネクライネナハトムジーク

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妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会したOL。
人生はいつも楽しいことばかりじゃない。
不器用な駆け引きの数々。
いろんなところで奇跡は起こる。
それは運転免許センターかもしれない、リビングかもしれない、駐輪場かもしれない。
立派な登場人物ばかりではない。

 

だが情けなくも愛おしい、そんな彼らが巻き起こす 物語の数々。
魔法の様な連作短編集。
それは物語が進むにつれ、様々なつながりが目に見え、明らかになるミステリー。
その中にあるのは友愛。
それこそが伊坂幸太郎のテーマであろう。

若気の至り、だが若さを忘れてはならない

「会社でちゃんと働くのがどれだけ大変なことかわからないから言えるんだよ」
会社にしがみついて一生を終えて行くのは嫌だ。
そう言う高校生。
それに対して大人はこういう。
一度きりしかない人生だと思い、楽しく過ごしたいと願っていた若者もいずれはすぐ、大人になる。
見えていないからこそ。
だが見えてからでも言ってもおかしくはない。
 

 

自己過信が一番危うい

「自分が正しいと思い始めてきたら自分を心配しろ」
自分の正しさを無意味に信じる時、それは相手に対し暴力を振るっているかもしれない。
そう、言葉の暴力を。
そんな時、本当に大事なことは、自分を俯瞰してみること、自分を心配すること。
本当に正しいことを言っているか、自分は大丈夫かと振り返って見ることが大事なのだ。
 

物事は考え方次第で何とでもなる

「若者たちが力を合わせて何かに打ち込んで発表するというのはホッとするのかもよ」
合唱コンクールに力を入れる意味に対して、生徒は悩む。
その理由はどこにあるのか。
おそらくそれは大人が安心したいからというところに行き着く。
気力有り余った若者を野放しにしておいて、何かしらの不安が彼らに生じるから。
その理由のためにやらされているのかもしれない。
物事にはこのように裏と表があると考えると、意外と人生は楽しいかもしれない。
 

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