aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】魔王/伊坂幸太郎 ファンタジーの中にリアルがある

ファンタジー成分多めながらも強いメッセージ性

またも伊坂幸太郎

魔王 (講談社文庫)

新品価格
¥691から

ファンタジー成分多めながらも強いメッセージを感じる本。

漫画化もされている。

 

超能力vs権力

念じれば、相手がそれを口に出す。

そんな超能力を持った青年が主人公。

立ち向かう先はカリスマ性あふれる次期首相候補

ファンタジーの中にリアルがある、そんな小説。

 

「いつの間にかファシズムに飲まれる民衆」

少しずつ少しずつ権力者たちは方向を変えていく、気づいた時は戻れない。

変化がいいことなのか、悪いことなのか、自分の身に降りかかってこないとなかなか意識できないものだ。

当事者意識という言葉をよく耳にするが、持つことは本当に難しい。

当事者であるが、不特定多数の中の一人

そして、自分が捉えきれないほどの情報が氾濫しており、
それを理解するために時間をかける必要があるのかどうかすら考えるのを放置してしまう。

時間に追われているのか、目の前に見えていない危険に対しての意識が低いだけなのか。

どちらも当てはまるのだろう。

 

 

 

「諸君はこの颯爽たる諸君の未来圏から吹いてくる透明な清潔な風を感じないのか」

宮沢賢治の詩の一節。

この本で初めて知ったと同時に衝撃を受けた。

全文を読むと新たな気持ちになれる。

全文はこちら → 生徒諸君に寄せる

マルクスのくだりでの「これらの盲目な衝動から動く世界」という表現にしびれる。

 

自分の生きる意義や意識の高さというものを持たせてくれる、そんな詩ではないだろうか。

高く、遠くを見据えながら進みなさい、世界を良くするために努力しなさい。

そんなメッセージ。

 

「クラレッタのスカートをなおす人間になりたい」

物事の本質を見誤らないように、軸を強く持つことが必要。

間違っていることに対して、声を上げることは正しいのだ。

大衆に、大きな力に、流されてはいけない。


物語もとても面白いんだけれども、心に刺さる言葉が散りばめられている。
さすが伊坂幸太郎

魔王 JUVENILE REMIX(1) (少年サンデーコミックス)