aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】Nのために/湊かなえ 人は誰かのために嘘をつく

N、それは誰のことか。誰を愛しているのか。

Nのために (双葉文庫)

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高層マンションの一室で、そこに住む夫妻の変死体が発見された。
そこに居合わせたのは20代の男女4人。
彼らの証言は、次第に事件の真実を明らかにしていく。
その過程の中で見え隠れする彼らそれぞれの思い。

 

彼らは皆、誰かのために何かをしている。
それにより事件の全貌が見えづらくなった。
タイトルにもあるNのために。
このNは一体誰だろうか。
物語に出てくる登場人物は皆、Nの頭文字を持っている。
最後まで読んだとき漸く、このタイトルの意味が分かるのではなかろうか。
ミステリーと言うだけでなく、純愛ストーリーのジャンルにも入一冊だ。

誰かのために何かをする、それが知られなくても良い 

「みんな一番大切な人の事だけを考えた。一番大切な人が、一番傷つかない方法を考えた」
事件を端的に表すと、この言葉に収斂する。
誰かが誰かのために、良かれと思ってとった行動は、もしかしたら何かを覆い隠しているかもしれない。
本人が気づいていないところで、人のために何かをする。
その行為は美しいものだ。
だが、それを本当に相手が望んでいるかは別問題。
 

 

自分が今いる場所はどこだろうか。周りが見えているだろうか。

「歪んだ空間にずっといると、そこが歪んでいることに気付かなくなる」
少しずつ世界は歪んでいく。
一方で人間の感性も慣れていく。
間違っている世界、正しくない世界。
それを判断する能力すら歪んでいくのだ。
外に目を向けること、一定の視点で止まらないこと。
そこをはっきりと理解しなければならない
 

「主観はあくまでも主観でありそれぞれの思い込みや誤解によって真実は歪められている」

 

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