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【読書】武士道シックスティーン/誉田哲也 剣道に情熱を燃やす女子高生二人の物語

情熱の原点は好きという気持ち

武士道シックスティーン (文春文庫)

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誉田哲也といえば、重厚な刑事物のイメージがある。

しかしながら本作は、青春物。

剣道に情熱を燃やす女子高生二人の物語。

 

宮本武蔵を崇拝する剣道エリート、香織は中学時代から名を馳せた名選手。

彼女はとある小さな大会で、無名の選手に負けてしまう。

その悔しさを忘れられないまま、高校に進学する。

 

進学先の高校で香織は早苗と再会する。

そう、負けた無名選手が早苗だ。

彼女は剣道エリートでもない、しかしながら才能が見え隠れする、そんな選手だった。

 

二人はぶつかり合いながらも距離を縮め、親友になっていく。

そして二人は剣道を通して成長していく。

全く違う考え方を持つ彼女らが徐々に近づいていく。

その様子に胸をうたれる。

自分の責任だとどれだけ感じられるか

「お前の負けはお前自身が背負え」

香織が父親に言われた言葉。

自分の中でも負けた理由が消化できないまま、父親に図星を言い当てられる。

他人のせいにするのではなく、自分の結果は自分が責任をもつ。

大人でも必ずしもできるとは限らないこの言葉に、彼女は何を思うか。

 

 

正直であると、社会では生きづらい

「尊敬もしてないのに、敬ったような言い方したくないんだよ」

まっすぐに自分の心をそのまま表に出す香織。

早苗に、先輩のことをちゃんと敬ってといわれたときの切り返しである。

表面上でも敬っておけば、波風立たずに過ごしていける。

だが、それすら自分の心を曲げることは嫌だと頑なになる。

真っ直ぐ、だけれども生きづらい性格。

 

迷いはいくつになってもなくならない

「誰にでも、いくつになっても、あることなんだと思う」

香織が迷っている。

自分の中でどうやって折り合いを付けたらいいのか。

剣道一筋で生きてきた彼女にとって、剣道は勝負以外の何物でもなかった。

それが正しいのかどうか、香織は悩んでいた。

先輩の河合はちゃんとそれを理解していた。

そして、誰にでもある、あたりまえのことだと言うことさえできる。

立派な人間であり、大人であった。

 

 

夢中になれることは幸せなのだ

「夢中になる、そういう気持ちが自分の中にあることを、もっと幸せに思わなくちゃ」

早苗は父親にこう言われる。

勝ち負けではなく、そのものに夢中になれることが大事である。

それほどまでに好きなものに恵まれる人間はそうそういないのだと。

だからこそ、勝負よりも剣道をするという行為に幸せを感じればいいのだと。

夢や理想という言葉を臆面もなく言うことがはばかられる今でも、好きなものは離さずにいたいものだ。

 

好きなものをどれほどもっているか?

「結局、情熱とか、その人を突き動かすエネルギーみたいなものって、好きって気持ちからしか、出てこないものなのかもしれない」

人は何かを頑張るとき、どこからそのエネルギーを引っ張ってくるのだろうか。

結果が、評価が、周りの目が気になるからだろうか。

いや、それはきっと好きだから。

夢中になれるもの、そのものが好きだからなのだろう。

臆面もなく好きといえることを人生のなかでどれだけ見つけられるだろうか。

 

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