【読書】ジェノサイド(下巻)/高野和明 楽しかったではなく、すごい体験した、そう思える一冊
遠い世界の片隅で、彼らはそれぞれ戦いを続ける
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ケントに託された研究には想像を絶する狙いが隠されていた。
彼が作る特効薬、それを求める患者は世界に10万人以上。
その中の一人がイエーガーの息子だ。
人間を上回る知性を持つ「彼ら」によりこの作戦は全て支配されていた。
その中で人間達は何ができるのか。
そして彼らに立ち向かう人間は正しいのか。
人間の醜さと、それを巧みに利用した彼らの知性。
軍配があがる先は明らかである。
遠い世界の片隅で、彼らはそれぞれ戦いを続ける。
敵は何だ、それは未知の人類ではなく人間の醜さだ。
そして人間が作り出した地獄である。
人間を俯瞰することのできる他の生命体から見た世界。
それは我々に大きな示唆を与えてくれる物語であった。
不完全さを認めることが、より良い世界を作る
「人間のやることは完全じゃないよ」
ケントは言う。
人間が考えたものは所詮、完全とは程遠い。
不完全だからこそ、それが発見されるたびにパッチを当てなければならない。
本当に、人間がホモサピエンスと呼ばれる賢い人であれば、世界はより良くなっているはずだ。
人間が自分達の限界を正しく見極め、それを踏まえた上で行動ができるのであれば、もう少し世界はまともになっていく。
公共と民間の分離
「戦争で儲けたい政策決定者は他国の脅威を誇張して国民に喧伝するだけでよい」
言われてみると当たり前の話だ。
戦争で儲けたい企業がいれば、戦争が起こりそうだという不安を皆に植え付けてあげればいい。
そうすることで戦争はなくても武器は売れる。
これこそがまさにモラルハザード。
政治と民間の企業、彼らがくっつきすぎるのもこれまた問題なのだ。
なぜなら、それぞれの目指すべきものというのは必ずしも一致しないのだから。
「ただ楽しかった、面白かったというだけでなく、何か違う景色を見てしまった、すごい体験をしてしまった、という感覚にとらわれながら本を閉じる」
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