【読書】永遠とは違う一日/押切もえ 人の幸せと自分の幸せを同じ尺度で測ることはできない
頑張るときは頑張る、休むときは休む
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モデルとして有名な押切もえ著の山本周五郎賞にノミネートされた作品。
ノミネートされるまで、この人が小説を書いていたことすら、僕は知らなかった。
そして読み終わってから、もっと早く知っていれば良かったと思った、そんな一冊。
短編6つで構成されている本作。
どれも主人公は何かに悩んでいる女性。
夢を追い続けること、諦めることの狭間で揺れ続ける人の心の葛藤が濃密に描かれている。
他人から、あなたは頑張っていると言われていても、自分の中でそれが認めきれない。
自分は頑張っているのに、他人に認めてもらえない。
才能のせいにすると、努力が足りないのだと指摘される。
誰しもがぶつかる経験だと思う。
そして悩める彼女らは、ふとしたことで救われる。
他愛もないことで救われる。
考え方を変えるだけで世界の見え方が変わってくる。
そんな美しい物語。
短編の主人公たちが、他の短編にも登場したりと、緩やかに繋がっている世界感が非常に魅力的。
主人公たちに励まされ、そして元気をもらえる作品。
あなたは本気になれていますか?
「誰かに認められたいなら、もっと全力でやったらどうなの」
努力の跡が見られない人に対する言葉。
だが、他人に対する言葉は、得てして自分にも返ってくる。
自分は努力しているのだろうか、全力でやっているのだろうか。
自分にはこの言葉を言う権利があるのだろうか。
某アニメのセリフ、撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ、を思い出した。
「今までがむしゃらにやってきたことが、見当違いだったって思い知らされたりする」
自分が頑張ってきたことを否定された時に、ポッキリ折れてしまわないように。
人に言われたから頑張るのではなく、自分がいいと考えて頑張ること。
考えた過程で疑問を解決しなければ全身全霊で前を向くことなどできやしない。
走る前に考える、しっかりと吟味する。
十分に伝えることができているか?
「自分では結論出てるんだけどうまく伝えられてなくて、周りを不安にさせちゃってたなって」
自分の考えを伝えきれていないこと、相手に伝わりきっていないこと。
それらは時として人間関係に問題を引き起こす。
言わなくてもわかること、言葉足らずでもわかること、わかっていないことをそのままにしておくこと。
無意識に、日常生活の中でもやっているかもしれない。
言わなくてもわかるでしょうという言葉が不自然なのは会社にいればよく分かる。
それは会社以外でも一緒である。
自分と全く同じ感性の人間なんていないのだから。
言葉にしなければ伝わらないことだらけなのだから。
ごまかしてばかりではいつか後悔する
「いつもそうやって逃げるんだから。うやむやにしてるといつか自分が後悔するよ」
自分は努力している。
だから悪いのは自分じゃない。
そう考えることはしばしばある。
だからそんな時はこの言葉を思い起こしたい。
うやむやなままでは自分が後悔するだけだ。
逃げて、最後まで逃げきれるなんてことは極々まれなのだから。
自分は自分、他人とは違う
「周りの人間からしたら、ちっぽけでささやかな幸せかもしれないけれど。そこに喜びを感じる自分もたしかにいる」
人の幸せと自分の幸せを同じ尺度で測ることはできない。
なぜなら価値観は人それぞれだから。
自分の幸せと他人の幸せを比較することはできない。
だからこそ、他人の真似や、他人の言うことを聞いてばかりいてはいけない。
自分の幸せを考え、見つけることは他人にとやかく言われる必要なんてない。
「何が起きても、一番の道を選んでちゃんと対応していくことね」
仕事で大切にしていることは何かとの問いに対する答え。
何が起きても受け容れ、それに対応すること。
すべてがマニュアル通りにできるわけはない。
だからこそ、そんなとき思考停止に陥らないように、考えることをやめてはならない。
考えないで仕事をするのは楽だけれども、楽なだけ。
それだったらロボットで事足りてしまうから。
「急がなくてもいいし、休みたかったらそうすればいい、でもまた前に進むと決めた時は、躊躇しないでほしいな」
常に前に進み続ける必要なんて無い。
がむしゃらで在り続ける必要はない。
たまには休んでみることで見えてくる景色もあるかもしれない。
肩肘張ってばかりいては疲れてしまうのだ。
頑張るときは頑張る、休むときは休む、そういうメリハリが必要なんです。
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