【読書】武士道セブンティーン/誉田哲也 「あ、私、剣道はもう、やんないかも」
青春を剣道にかける少女たち
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強さは力の香織とお気楽不動心の早苗。
正反対の二人は武士道という名の絆によって繋がっている。
高校1年のときは同じ高校でチームメイトだった二人。
早苗の転校により別々のチームになってしまった。
早苗が転入したのは福岡の剣道の名門校。
彼女達の強さに早苗は驚く。
だが、それだけではなかった。
そこでは剣道はあくまでもスポーツ。
試合に勝つための指導方針であった。
武士道を心に刻んだ早苗は複雑な心境のまま福岡での生活をおくる。
一方の香織は自分本意だった彼女から、チームのことを気にかけることができる先輩へと成長していた。
チームのことを考え、憎まれ役になることもできる彼女。
成長の過程を微笑ましく見ることができる。
やがて、全国大会に行き、彼女達は再会する。
互いに敵同士、しかし心では繋がっている二人。
彼女達の青春はどこへ向かっていくのだろうか。
ページを捲る手が止まらない、熱血剣道小説。
親友ではなく、同志
「あの人は、同じ気持ちで、同じように前を向いて、一緒に戦ってくれた、たった一人の、同志だったの」
早苗と香織の関係を、早苗はこう評する。
たった一人の同志。
自分の向いている方向と同じ方向を一体どれだけの人が向いているだろうか。
そんな人に出会える確率はどの程度だろうか。
自分の生きる人生の中で、何人の同志と出会えるだろうか。
高校時代にそんな盟友と出会えた彼女達を羨ましくも感じる。
人が学びを得られるのは、考える時
「あいつの中に理が育たない。もう少し、考えるきっかけと、猶予を与えてやらなきゃ」
香織の後輩指導について、監督はこう言う。
詰め込むだけが指導ではない。
その人自身に考えさせること、理解させること。
そしてその人の中に、芯を作ること。
それが人を育てるということだ。
行動に魂はこもっているか
「磯山さんの剣道には、少なくとも、魂があったわ」
早苗の転校先の高校には、香織のライバル黒岩がいた。
彼女は、勝つ剣道をする。
ただただ、勝つために、点数を取りに行く剣道をする。
それがルールの中であれば何でも。
剣道は、武士道。
魂がなければ何も響かない。
誰にも響かない。
単純なこと、それが正しいこと
「ちゃんと突き詰めていったら、答えは案外、単純なことなんじゃないかな」
自分の中で、消化できないこと。
消化しきれてないこと、答えを見つけることができないもの。
案外、答えは単純なんだ。
本当に正しい論理は、誰にでも簡単に、納得できるものなのだ。
難しく考えるのではなく、解きほぐすこと。
それが、近道なのだ。
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