【読書】ONE 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子/内藤了 捜査に先入観は禁物だ
殺人鬼、再登場
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ZEROを前編、ONEを後編とする物語。
本作には、第二作に登場した殺人鬼が再登場する。
異常な殺人を行った彼女を崇拝する信奉者が現れる。
彼が手紙を送り、殺人鬼は脱獄する。
信奉者は殺人鬼が比奈子を狙っていることを知る。
そして比奈子を捉えることに成功した。
ZEROでは、比奈子が捕まったところで終了する。
本作ONEはそこからのスタートだ。
猟奇犯罪捜査班が比奈子を探す。
彼女を追いかける。
彼女の周りにはたくさんの仲間たちがいる。
刑事だけでなく、メイドカフェの店長だったり、昔助けた女性だったり。
比奈子の人柄に触れることで仲間になっていく。
皆が自分の持ち場で仕事をすることで、組織としての、チームとしての強さが生まれた。
職業によって狭まる視野
「警視庁で噂の敏腕刑事は、どこまでの等身大な、ただの女性にすぎなかった」
比奈子の後輩である月岡は思う。
比奈子は優秀な刑事である、その所以は人間らしい感情を忘れていないから。
刑事の目線ではなく、一般人の目線で考えられるから気づくのだ。
視野が狭くなることに気づき、広く保ち続けることの難しさ。
完璧主義者がゆえの怖さ
「完璧でないものは価値がない。そして自分は、なぜ、これほどまでにZEROなのか」
完璧主義者である犯人は語る。
何か一つでもダメなところがあれば、すべてが無価値になるのだ。
ここまで行くと極端であるが、人は柔らかくあるべきだと思い知る。
完璧であればあるほど、息苦しくなってしまうから。
根っこから悪い人間はいない、そう信じる
「生まれもっての犯罪者など、いるはずがない」
保はこう思う。
そして全ての犯罪者を治療するために今も生きている。
この世が安心できる場所であると信じることができさえすれば、他人を傷つける必要などなくなる。
そのために人は何ができるか。
謝罪という名の自己満足
「謝れば、おまえは気が済むかもしれん。だがな、遺族の気持ちはどうなんだ」
人は謝罪をするとき、考える。
自分が何に対して誤っているのか。
本当にそれは正しいのだろうか。
謝ることで自分の気持ちを落ち着かせるためであろうか。
謝られた側の気持ちも考えることを忘れてはならない。
謝罪そのものが嫌悪の対象かもしれないのだから。
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