【読書】LEAK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子/内藤了 事件の背景にある大きな闇を見つめて
人が行動を起こすのには理由がある
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藤堂比奈子シリーズ4作目。
本作の題名はLEAK。
何をリークするのだろうか。
その答えはなかなか出てこない。
今回の事件は、秋葉原で死体が見つかることから始まる。
不思議な死体。
体の中に大量の小銭と紙幣が詰め込まれていた。
続けて同様の死体が見つかってくるが、共通点がわからない。
だが、何かしらのメッセージがあるはずだ。
比奈子たち猟奇犯罪捜査班は捜査を続ける。
次第に判明してくる被害者たちの繋がり。
そして殺され方にも意味があった。
人が行動を起こすのには理由がある。
今回の犯人、リッチマンもそうだ。
犯人は何を訴えたかったのか。
自己顕示欲ではなく、伝えたいことがあったからこそ。
比奈子たち捜査班は、犯人を捕まえるだけでなく、その裏側まで汲み取っていく。
現代社会の恐ろしさと、それを救うべく奔走する捜査班に驚愕する。
恐ろしいのは生身の人間
「生々しい命を奪い取り、あんな部品の塊と、抜け殻だけにしてしまったのだ」
検死の光景を見ながら比奈子は思う。
恐いものは何なのか。
それは人を人と思わない人間。
悪意をむき出しにして理性をかなぐり捨てた人間なのだ。
優先順位を振り返る
「答えに窮して悩むとき、比奈子はいつも考える。一番大切なことは、何なのか」
ものすごくいい言葉だと思う。
悩んでいるときは、往々にして視野が狭くなりがちだ。
狭い範囲で物事を考え、早急な結論を出しがちだ。
必要なものは全体を見て、プライオリティを見つけること。
自分は何を求めるのか、何を求めなければいけないのか。
人は死ぬ時までに何を考えるか
「命を終える時の気持ちなど、若くて健康な比奈子は考えたことも無かったけれど、人は自分の人生と対話しながらその時を迎えるものなのだろうか」
死と向き合うことは恐い。
だからこそ、普段はあまり考えるない。
そこに直面しなくていい状況であればなおさら。
歳を重ねるにつれ、段々と向き合う強さというものが生まれるのだろうか。
それとも、やはり恐いままなのだろうか。
身の程をわきまえることこそ強さだ
「弱いからこそ、弱いことを恥じてはならない。弱いからこそ、強くあろうと闘えばいいのだと」
人は、時に崩れやすい。
一時の感情で、悪に触れてしまい、取り返しの付かない事にもなりうる。
そうならないために、どうすればいいだろうか。
弱い自分を理解し、それを前提に行動することではないだろうか。
自分が強い、素晴らしいと思っていればいるほど、足元を掬われる。
弱いなら、堂々とそれを認め、強くあろうとすることが大事なのでは。
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