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20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】森に眠る魚/角田光代 母親たちの孤独、現代人の孤独を描く

「人のことは気にしないと決めたのだ」

森に眠る魚 (双葉文庫)

新品価格
¥515から

アメトークで紹介され、話題沸騰の本作。

物語は5人のママ友たちを中心に進む。

それは狭い世界。

子供が同じような年頃だからといって仲良くなる。

それがママ友。

 

本来であれば薄い、薄っぺらい関係のはず。

だが、その環からはみ出せば即座に大変なことになってしまう。

 

なぜだろうか。

排斥、孤独、仲間意識、繋がり。

 

人は共通の敵を作ることで仲間になることができる。

すぐに人を疑ってしまう。

なぜだろうか。

なぜ人を信じることができないか。

自分が信じていないから、相手も自分のことを信じていないのだと。

そう思ってしまうのだ。

 

そして、これはママ友だけの話ではない。

我々の中に潜んでいる狂気がこの本には描かれている。

他人事ではない、まさに自分自身。

あなた自身はどこにあるか

「ママ友なんて一時的なつながりでもない、もっと長いつきあいができるのではないか。だれかの母とか、だれかの妻ではなく、自分自身として」

カテゴライズした自分ではなく、名目を取っ払った自分自身には何が残るか。

社会の中で与えられた役割ではなく、自分自身として。

全てを取り払えば何があらわれるだろうか。

 

 

普通という幻想

「他人と比べることで人は不要な不幸を背負いこむ」

他人の子供、他人の生活。

自分のものを比較して一喜一憂する。

いつの間にか人間は比較級でしか生きられなくなってしまった。

人それぞれの価値観ではなく、「普通」という見えない力によって操られるかのごとく。

 

時には俯瞰する勇気

「私、いったい何がほしかったんだろう」

都会に引越し、背伸びした生活を送り、その結果何が残ったか。

彼女はふと我に返る。

何のために?誰のために?

そして気づく。

周りに合わせ、流され、巻かれてしまっていたことに。

 

ルーティンから逃れるための勇気ととどまる気楽さ

「頑強なまでのくり返しに疑問を持ちさえしなければ、日々がこちらをふり落とすこともしないと、彼女はすでに知っている」

ルーティンにのってしまえば簡単なのだ。

生きていくことすら、ルーティンになる。

あえてそこから抜け出そうとさえしなければ。

何も変わらないが、いつも通りの一日が始まる。

 

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