【読書】マックス・ウェーバーを読む/仲正昌樹 世界を構成している論理は?
資本主義、官僚制、学問etc・・・
今の世界はウェーバーの思想が根本にあるといっても過言ではない。
資本主義、官僚制、学問など影響を与えている分野は多岐にわたる。
自分がどのような論理によって成り立った世界で生活をしているのか、たまには考えてみるのもよい。
そう思って手に取った。
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世界は所与のものではなく、考えて議論しつくされて、今の形になっているのだから。
世の中に目を向けるきっかけに。
「職業労働に励むことこそが、キリスト信者にとっての真の修行だと考えるようになった」
人が働くということ、そのベースは宗教にある。
信者が修行することと同様に、職業労働に励むことも修行であるという考えだ。
「「労働」は、神ではなく、「人間」それ自体を価値の源泉にしようとする
近代の社会思想の系譜において中心的な役割を担ってきた」
信じる対象である神ではなく、神から与えられた職に対し、誠実に取り組むことこそ、
人間の使命であり、人間の価値であるという考え。
自分が働くことによって、世界に価値を与える。
「官史は、政治指導者の方針に従って、非党派的に仕事を進めるべきである」
公務員は政治思想を極力排除して働く必要があると述べている。
官史は政治指導者ではない。
政治指導者が思い描く政治を、官史は忠実に実行するだけ。
むしろ、指導者とことなる政治思想を持つと、マイナス方向にしか働かない。
だが、強い政治指導者がいない場合、官史の力が強くなり、官僚が支配する世界が生まれる。
組織の頭以外は、マシーンであれ。
そういう言葉ではあるが、ある意味では正しいのだとおもう。
すべての人間が経営者の視点を持てという事をよく聞くが、そうであれば経営者って要らなくなる。
場所立場によって見ることができる視界は異なる。
一番広い視野を有するトップが描くシナリオが重要なのである。
「指導者である議員の院内外での活動を支える政党が本格的に組織されるようになると、有権者の支持を獲得すべく党の方針を実質的に決定するマシーンが出来上がり、マシーンの決めた方針に議員たちも依存せざるを得なくなる、という逆説が生じる」
指導者を助けるべき政党が主導権を奪うという、本質を見失った形になってしまう。
国会を見ても、選挙においても、党が断然前に出てくるあたりが不自然。
政治思想はそれぞれ皆違うはずなのに、徒党を組んで、妥協の塊である中途半端な方向性の政治ストーリーを推し進めている。
今の政治の向かう方向に、すべて賛成している政治家はどれほどいるのだろうか。
そもそも、個々人の政治家がどれほどの理想を持っているのだろうか。
「人はどんな希望の挫折にもめげない堅い意志でいますぐ武装する必要がある」
ある物事を推し進めようとすると、求められるのは堅い意志である。
人を納得させるということは非常に骨が折れる。
政治はその統治する人々に対して、納得して貰う必要があるのだ。
難しいに決まっている、だからこそ強い人が求められる。
「資本主義経済をベースとする現代国家は、個人の経済活動には原則的に干渉しないようにする一方で、
大企業の活動を支えるために官僚制を整備しなければならない、という二律背反的な課題に直面する」
企業に自由にやらせながらも、公共としてやらなければならないことは多い。
どこまで官がやるのか、線引きが非常に難しい。
官も民も手を出さない領域ができてしまうのが一番ダメなところだ。
逆に言えば、民に任せる、市場に任せるということがどれだけ必要なのだろうか。
利益追求の資本主義で、利益になる、ならないの線引は誰ができるのか。
少なくとも官より民のほうが、それらに関する知見は多く有するのではなかろうか。
「現代においては、合法性への信仰が、「正当性」の最も一般的な形式になっている」
権力は、正当であることを根拠に強制力を発揮する。
合法であれば正当であるという論理がまかり通るのであれば、法律はすべて正しいことになってしまう。
なぜ存在する法律がすべて正しいといえるのであろうか。
そして、権力者は、法律を改正する事もできる。
確かに、現状に即して法律を改正することは必要である。
だが、それは現状ゴリ押しで進めるべきことではないし、変えること自体が目的ではない。
「「学問」は悪魔が生み出した業かもしれないが、価値の機軸がない混沌の時代にあって、
悪魔や神々の属性を知るために利用できる、確かな武器である」
学問というものは、物事を正しく、判断するために学ぶもの。
そして自分が何を信じるかという価値観の形成に大きな武器となるものである。
決して、大学に入るためでも、いい会社に入るためでもない。
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