【読書】ビギナーズ資本論/マイケル・ウェイン 資本主義とは何か。労働とは何か。
いまや資本主義が当たり前、合理的な市場が決定権をもつ。
資本主義とは何かを考える際に、労働とは何かを考える際に、ここに立ち返りたい。
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「道具や原料に潜む可能性を現実のものとするには生きた労働が必要だ」
使用できる商品の状態にするためには、原料に労働を加えることが必要。
原料+労働=商品
「企業はー、利己主義を押しとおいて道徳をないがしろにし続けている。
多くの人々がこの人格を嫌い、それを人格というのなら心を病んでいるとさえ思っているが、
おかしなことに私たちは企業を会社のもっとも強力な機関として受け入れている」
企業は合理性のかたまりであり、人格としては決して良いものではない。
あくまで企業であるからこそ許されることであり、これを実生活に適用すべきでない。
それを理解できていない人が最近増えているように思う。
「資本にとって理想の世界とは限界なき世界だ」
常に成長することを求められている一方で、有限なのはあきらか。
目をそむけることで、いまの資本主義は動いている。
何かおかしいと思うのだが、解決策がでない。そんな現状。
「資本主義の特徴のひとつは、ものごとをスピードアップしようとする衝動にある」
効率性を重視するがゆえに、スピードアップを求める。
自分の周りでも効率を過剰に気にする人は少なくない。
資本主義がベースに染み付いているからこそ、時間に対する効率という発言が出てきてしまうのだ。
もっとゆったり生きていけばいいじゃないか。
オンもオフも時間に追われていたら、何をしているのかわからなくなりそうだ。
「人間の性格の構造、それは自己を抑制し、仕事の報いを未来に託して、黙々と努力することを強調するものだった。」
我慢して努力し続けることって、虚しいと思う。
ある程度の報いを受けてしかるべきだし、そうなっていない会社はおかしい。
自分がそうだったからと年長者は口を揃えるが、時代が違う。
虚しい資本至上主義が跋扈するだけではないか。
「科学技術の進歩が人間の労働力を拡張すればするほど、ー、労働に費やさねばならぬ時間は遁減する。
しかし、生産性の向上は決して余暇を増やすことはない。
なぜなら、必要労働時間の減少は、剰余労働時間の増加に丸ごと飲み込まれてしまうからだ」
生産性をあげたら、余暇を増やせばいいじゃないか。
しかし、資本を増やすことのみが目的な企業は、余っている時間があれば剰余に。
この折衝は、力の差から企業に軍配があがる。
むしろ、余暇を増やしていたら経営者失格の烙印を市場に押されてしまう。
市場ってこわい、資本主義おそろしい。
「目先の利益が長期的な利益より優先されがち。
外部性であるがゆえに、資本主義は一貫してみずからの社会的土台を否定し、無効化しようとする」
見たくないものを見なかったことにすれば、影響はない。
なぜなら目に見えないものとして処理されるから、費用はかさまない。
「(資本家は、自分の労働者の賃金は下げたいが、他の資本家の労働者は大量に消費してほしいと願っている)
個人レベルでは合理的なことでも、ー、集団レベルでは極めて不合理な結果を生み出す」
合理的なことをみながすることで不合理に。
全体をみて、全体最適にする必要があるのだが、それは一体誰がするのだ。
このグローバル化が進んだいま、一国家だけでは到底不可能なところまできてしまった。
「もともとは交換行為が物に値段をつけてきたはずなのに、物に値段がついているから交換がなりたつように見えてくる」
いつの間にか主従関係が逆転してしまい、目的のための過程が目的よりも強くなってしまった。
資本主義が当たり前になってしまった今の社会において、本質を見失うことは非常に容易になってしまった。
しかし、何かおかしいと日々考え続けることに意味がある、そう思う。