【読書】黄砂の籠城(上巻)/松岡圭祐 日本人の叡智そして勇気を世界が認めた
日本人は、我を持たない?
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彼らは暴徒化し、教会を焼き討ちにした。
外国公使館を包囲する義和団、足並みが揃わない外国11か国。
それらをリードしたのは、日本人の駐在武官、柴五郎であった。
日本人の叡智そして勇気を世界が認めた。
日本人の誇りと彼の生き様、それをとくと目にできる。
そこにあるのは、今の日本人が忘れている誇りなのかもしれない。
自国に対する誇りを持つためにも。
覚悟、それは行動の前に必要なもの
「すべて剣を取るものは剣によって滅びる」
戦争をする人間は戦争によって滅びる。
攻撃をするからこそ攻撃される。
何が悪いのか、それは初めに手をあげることだ。
逆に言えば自分の行動に責任を持つこと。
それさえできないままでは、何一つ行動を起こしてはならないのだ。
撃たれる覚悟があるのだろうか。
職業、それは大した問題じゃない
「普段は報道に携わるものですが記者である以前に日本人です。この危機に中立な立場として傍観を気取るなど許されないことです。日本のために戦わせてください」
民間に対して協力者を募集した結果、集まってきた多数の日本人。
彼らは日本に対して誇りを持っていた。
自分の仕事以前にそもそも日本人であること、そこに対して誇りを持っており責任を感じている。
だからこそ立ち上がったのだ。
今、日本でどれだけの人が、自分が日本人であることを意識しているか。
もっと国を好きになればいいのに。
コミュニケーションギャップは相互理解で
「逆に今までは謙遜の言葉が額面通り受け取られていたのだろうか」
外国人との意思の疎通は難しい。
日本人は謙遜する。
謙遜をすると言う行為に深い意味などない。
だが外国人にとってみれば、謙遜は文化の外側にある。
なぜそのような発言をするのか、それすら理解をできないのだ。
その前提を踏まえた上でコミュニケーションをとらなければならない。
無意味に行動することが悪
「戦をするなら勝て。しかし万が一にも敗北に至った場合は生き延びろ、そして誇りを忘れるな。自分の中にある真実を戦場から持ち帰れ」
これが、柴が考える生き様だ。
死を美徳とする武士道とは違い、自分の命を大切にすること。
そして真実を伝えることに意味を見出す。
死よりも辛いかもしれないその運命は、人がどのように生きるかを教えてくれる。
落ち着いて理由を考えなければならない。
無意味に信じることこそが悪なのだから。