aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【作品リスト】大きなものに立ち向かう勇気と優しさを教えてくれる作家、伊坂幸太郎

大きなものに立ち向かう、そしてねじ伏せられる市民、でも諦めない。

そんな物語を描く伊坂幸太郎

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ファンタジーと見せかけて、非常に現実感溢れた物語たち。

近未来SFと言えるものも多い。

人はどう有るべきか、何に気をつけなければならないか。

笑い、そしてドキドキの中に潜むメッセージ。

噛めば噛むほど面白くなるエンターテイメント小説たちが並ぶ。

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【読書】死神の浮力/伊坂幸太郎 死神が人間たちに正論を説く。大真面目に。

主人公は死神、儚い人間ではない

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娘を殺された作家夫妻は犯人に対する憎しみを抱いている。

 

犯人は無罪判決を受けてしまった。

彼らは復讐を計画していた。

 

そんな中、彼らの前に死神が現れた。

死神は名前を千葉という。

 

千葉は人間を7日間調査し、その人間が死んで問題ないかどうかをチェックする仕事をしている。

死神の調査だ。

 

夫妻が復讐を計画している間、千葉は彼らと行動を共にする。

だが、犯人は復讐されることを見越していた。

 

犯人はサイコパス、感情が欠如して他人を操ることに快感を覚える人間だった。

そこからサイコパス対死神という不思議な構図が出来上がる。

 

犯罪と復讐、そして死というものが重なって本作は構成されている。

ファンタジー成分がありながらも、深い社会性と死への考察が含まれている。

人間とはかくも儚い、そして尊いものであるか。

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【読書】ガソリン生活/伊坂幸太郎 僕たち自家用車の言葉で言えば、ガルウイングドアの気分だ

今度の主役は緑色のデミオ

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舞台はまたも仙台。

今度の主役は緑色のデミオ

車たちの視点から人間世界を見る。

車も人間も、総じて魅力的な彼らが事件に巻き込まれる。

 

大人びた小学生とどこか抜けた兄弟。

主人公のデミオは彼ら兄弟の家の車である。

彼らの前に現れた女優、そして記者。

その女優は浮気相手とともに事故で亡くなってしまった

だが、ダイアナ妃の事故と同様に不可解な点が多い。

 

小学生の弟がいじめられ、長女の彼氏は怪しげな仕事をさせられる。

一見別々の事件達だが、ゆくゆくは・・・。

 

善良な市民が、事件に巻き込まれながらも、徹底的に抗う姿が力強く描かれる本作。

最後には暖かな、幸せな気分になる一冊

 

失敗を恐れてはならない

「人間のやることの九十九パーセントは失敗なんだ。だから、何にも恥ずかしがることないぞ。失敗するのが普通なんだからな」

「失敗するのを死ぬほど恐れているのは、自分を最高に格好いいと思っている自惚れた人間なんだ」

失敗することを恐れる人が多い現代。

挑戦しなければ失敗は起こらない

ゆえに保守的になってしまう。

だけど失敗をするのは当たりまえなのだ。

当たりまえだと思っていれば、気軽に一歩踏み出すことができる。

とても優しい言葉。

 

「もしかしたら必要になる時があるかもしれないからと何でも保留にしちまう」

だからこそ無駄が増えてしまう。

車たちはクラクションのことを不要だという。

ただのいらだちをアピールするためのものだからだ。

クラクションの音を聞くと、嫌な気分になる。

皆そうであろう。

本来である警笛の役割を果たしきれているのだろうか。

 

 

大人になって退化してしまうこと

「人間ってのは自分の発言や覚悟はすぐに忘れちゃうんだよ」

言った当初は本気。

だけれどもだんだんと忘れてしまう。

本来の意志はどこにあったのか、自分はどこに向かっていたのか。

時々振り返って確認することが必要なんだろう。

 

「大人のやり方はつまんねえぞ。
事前の調整やらバーターやら、ようするに利益を持ちかけて、自分の要求を押し通すパターンだ」

交渉とは結局はこういうこと。

自分の要求と相手の要求を考え、落とし所を探っておく。

落とし所を探すのは辛いし、虚しい作業だ。

でも仕事ってそういうものなのかもしれない。

 

車ならではのフレーズ

「お手上げの気持ちになった。僕たち自家用車の言葉で言えば、ガルウイングドアの気分だ」

このフレーズが一番好きだ。
ガルウイングドアの気分、一度使ってみたいフレーズ。

 

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