aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】銀行総務特命/池井戸潤 ドラマ、花咲舞が黙ってないの原作

池井戸潤の銀行モノ小説

新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)

新品価格
¥751から

勧善懲悪のすっきりとした物語である一方、銀行の組織や人間に問いかけを放つ

そんな一冊。

池井戸潤の作品は、半沢直樹を始め、情熱に満ち溢れた人間が多く登場する。

本作の主人公、指宿もそう。

あまり多くは語らないものの、彼の芯の通った思いを感じ取ることができる。

 

芯の強さを持つ唐木とのコンビはぎくしゃくしながらも見ていて気持ちいい。

互いに信頼している絆が見え隠れする。

こういう小説を読むと、明日も頑張ろうって思えてくる。

銀行の資産は情報

「銀行の財産であり、信頼の証でもあり、歴史の重みそのもの」

銀行にある取引先の情報というのは、信頼の塊だということ。

銀行は情報を持っているからこそ、信頼される。

そして情報を持っているからこそ、お金を貸し出すことができる。

信用はお金では買えない。

 

組織に魅力を感じないのはなぜか

「世間ではエリートと言われる銀行員だが、組織に不満を持つ者は決して少なくない」

銀行員だろうが、ただの会社員。

そこを忘れているような人間がこの本の中で懲らしめられる。

エリートだから給料が高いのではなく、つまらない仕事だから給料が高いのではないだろうか。

何のために働いているのか、お金以外に目的を持っているだろうか。

 

「私には銀行の名誉にどんな価値があるのかわかりませんから」

銀行員の夫が銀行のため、秘密を隠したまま自殺した。

その妻はこう述べる。

結局、会社のような組織に実態はない。

組織は人の集まりであり、人ではない。

個人と組織を比べた場合、個人の方が大事なのは間違いない。

なぜなら個人は一人しかいないのだから。

換えがきかないのだから。

 

何のために仕事をしているのか

「面白いとは思いますけど、正直、あまりやりがいはありません」

よく聞く話だ。

やりがいがない。

就職活動のときにはあれだけ主張していたやりがいというものを感じれないひとが多い。

それはその人が思っていたような業務につけないからだろうか。

それともその場しのぎで主張していただけだからだろうか。

両方の人がいると思うが、マネジメントとしては、やりがいを持っている人の集団を創りたいはずだ

どうしたら組織がよくなるか。

皆の希望をできるだけたくさん叶えてあげるということだろう。

 

組織の正解は個人の正解と一致しない

「正解のないところに正解を作り、道理のないところに道理をこじつけていく、組織の論理の理不尽さ故か」

池井戸潤の本音ではないかと思う一文。

組織は結局、恣意的な方向に向くことが多い。

すべてが道理にそった運営などされるはずもない。

なのに、組織は論理を重視する。

何処かで嫌な食い違いが生じてしまうのだ。

どうしたらそれを感じる人を減らせるのだろうか。

良い組織だなぁと思う組織にするには何がたりないのだろうか。

 

自分の心に問いかけるべき言葉

「法律の上で問題なくても、人として許されない行動ってのはあると思うんです」

法律というものは、守る人の善意の上で成り立っている。

人々がその範囲の中で生活をするからこそ、社会が成り立つ。

法律に規定するまでもなく、間違っていることを法律に載っていないからと言ってはならない。

なぜ、自分の頭で考えないのだろうか。

なぜ、すべて他人に委ねてしまうのだろうか。

思考停止と安易な方向に進みたがる社会に、もう一度考える心を。

 

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