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aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】残り全部バケーション/伊坂幸太郎 優しい言葉、心に残る言葉とともに、すっきりとした読後感

名言 小説 社会 小説-伊坂幸太郎

ふとした言葉が心に刺さる、それが伊坂幸太郎の小説

タイトル買い

よくわからないけど、何となく惹かれるタイトルにやられ、店頭購入。

伊坂幸太郎の本は、「重力ピエロ」もそうですが、

タイトルで「ん?」と気になって書店でジャケ買い(タイトル買い?)をすることが多いですね。

残り全部バケーション (集英社文庫)

新品価格
¥605から

短編が5つ

それぞれが繋がっているわけではないが、登場人物の一部が同じであったり、

別の人間視点からの話であったりして、楽しい。

どういう繋がりがあるのかと考えながら読み進めていくという意味ではミステリーに近い。

  

 

「今日、仕事をやめたばかりなんだ」
「明日から、もう俺の人生、残り全部、バケーションみたいなものだし」

早速、タイトルの言葉が出てきた。

楽観的というか脳天気というか、そんな登場人物のセリフだが、励まされる。

仕事だけがすべてじゃないんだよ、仕事だけを見ているのではだめだよ。

見方を変えればこれからすべてが自由なのだと、そんな言葉に聞こえる。

今は学校を卒業したら、新卒一括採用で直ぐに会社で働くといった流れができている。

だけど、仕事をするためだけに今まで勉強してきたわけじゃないんだ。

仕事が楽しいと思えればいい、でも仕事が駄目でも全部だめなわけじゃないんだ。

自分を追い詰めているのは、自分が勝手に思い込んでいる先入観かもしれない。

 

 

「レバーをドライブに入れておけば勝手に前に進む」
「気負わなくたって、自然と前には進んでいくんだよ」

単なるオートマ車の運転の話なのだが、聞き手にとっては優しい言葉となる。

誰かのふとした言葉が心に刺さることって非常に素敵だとおもう。

名言が出るぞ、名言がでるぞ、という雰囲気ではない中で、

そっと入ってくる言葉こそが、美しい。

伊坂幸太郎の得意技であろう。

伊坂ファンはそれにやられる。僕もその一人。

 

「そんなのは検問じゃねえよ。ただ、税金で渋滞作ってるだけじゃねえか」

面白いツッコミ。

一歩下がって視点を変えたような軽妙なトーク、できるようになりたい。

 

「勉強すればいいわけじゃないと思う」
「それで楽しく暮らせるなんて、そんなに甘くないよ」

なぜ、勉強するのか。

いい学校に入って、いい会社にはいって、そうしたら幸せになれる可能性が上がるからだろうか。

しかし、勉強の楽しさって、知識や考え方を身につけるところにあると思う。

いつの間にか目的がずれている人って結構多い。

何も考えずに、がむしゃらに勉強するほうが結果はでるから、

ある意味、社会がそうさせているのかもしれない。

 

「自分たちの頑張っている姿で、後継者を引っ張ってきてる仕事なんて、そんなにねえぞ」

楽しそうに仕事をしている人を見ると、自分もそうなりたいなという憧れが生まれる。

逆に、高い給料を目的として働いている人を見ると、

高給を貰わなければ、やりたくないような仕事なのではと疑ってしまう。

人を惹きつける魅力のある仕事をしたいし、そんな仕事を増やすことが好景気の入り口ではないだろうか。

 

伊坂幸太郎の魅力がつまった一冊

優しい言葉、心に残る言葉とともに、すっきりとした読後感。

多くは語らないで、読者の想像にまかせるところもまた美しい。