aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】Qrosの女/誉田哲也 正体不明のCM美女

世間を騒がすCM美女。その正体が分からない。

Qrosの女 (講談社文庫)

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¥799から

彼女の素性を暴くべく芸能記者、矢口は奮闘する。

先輩の栗山とともに、彼女と共演した俳優の自宅を張り込んでいるとそこに彼女が現れた。

 

これはスクープか。

それとも・・・。

息もつかせぬ展開と、リアルなマスコミの裏側を描く。

 

章ごとに違った人物の視点から物事が描かれる。

読者は彼らの目を通して全体を把握する。

 

予測が付かない展開と、それを華麗に描く著者の筆力を噛みしめる一冊。

マスコミにもプライドはあるのか 

「他人のプライバシーを暴く権利なんて、自分たちにあるのか」

若手記者が考える。

情報を公にすることは簡単だ。

だが、それが世間に、その人に与える影響を制御することは不可能だ。

特にインターネットが発達した現代において、不可能でしかない。

では、それをする記者とは一体何様なのだろうか。

彼は考え、悩む。

 

 

社会性を取り去った人間の恐ろしさ

「ネット情報の目は次第に、真澄本人との距離を詰め始めた」

「この嫌悪感の原因は、相手が正体不明だからだろう」

ネットの海に流れた情報は徐々に集約される。

不特定多数の顔の見えない相手から追い詰められる恐怖に怯える彼女。

相手が人間であることはわかっているのに、まるで人間でないように思える。

なぜなら、社会性という人間らしさを取っ払っているから。

より動物的な欲望をむき出しで向かってくる匿名の人々。

現代社会の闇を映し出す。

 

知りうることと知るべきこと

「真実が必ずしも人を幸せにするわけじゃなくて、優しい嘘の方が、よっぽど多くの人を幸せにしたりもする」

世界は真実ばかりで作られているわけではない。

優しい嘘がきれいな世界を作ることもある。

なぜなら虚構でも幸せを作ることができるから。

真実をありのままに詳らかにすることが善ではない。

それは人が人であるから。

 

事実は捻じ曲げられて伝えられているかもしれない

「編集サイドは、自社広告セクションの意向を無視できない」

すべての企業は利益のために活動をする。

雑誌をつくる出版社だってそうだ。

自社の雑誌に入れる広告のスポンサーの影響は強い。

なぜならそれが収入源の一つだから。

企業に倫理を求めるのではなく、何が企業を突き動かしているのかを認識していなければならない。

そうでなければ人は企業に裏切られる。

なぜなら企業は人に対する感情など持っていないから。

 

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