aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】二重生活/小池真理子 理由なき尾行、はじめました。

何の目的もない、知らない人の尾行

二重生活 (角川文庫)

新品価格
¥734から

衝撃的な題名と帯のセリフ。

主人公の女子大生、珠は「何の目的もない、知らない人の尾行」を実行する。

本来尾行という行動は、何か明確な目的があり行われる。

何かを知るために、何かを探すために。

だが、文学的・哲学的尾行は違う。

目的など何もない。

他者を尾行することで自分にとっての何かを得る

 

傍から見ればただの変な人なのだ。

だが、本作を読めば、何か恐ろしいほどの魅力が感じられる。

主人公である女子大生が魅了されるのもわけないような。

 

不思議という一言では片付けられないが、不思議な感覚を得る。

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【読書】本屋さんのダイアナ/柚木麻子 周囲の押しつけや思い込みという呪いから解き放つ

ガール・ミーツ・ガール小説

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

新品価格
¥680から

本以外に友達がいなかった少女に初めて友達ができる。

二人の少女の心の触れ合い、足らないものを補いあい、時に確執を生じる。

幼い彼女らが、少女を経て、大人になっていくまでを描く本作。

 

お互いに無いものを相手に求める。

お互いの家族を羨ましく思う。

相手の家庭に生まれたらどんなに幸せか、想像ばかりする。

 

ふとしたことで仲違いをし、10年以上も音信不通。

再び会うとき、彼女らはどれだけ成長しているのだろうか。

自分の殻を破った時、真の友達になれるのだろう。

 

若さゆえの失敗もあれば、大人びた考えもある。

難しい青少年時代を巧みに描く

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【読書】動物化するポストモダン/東浩紀 オタクの変遷は社会の変遷。今後我々はどこに向かうのだろうか

オタクから見た日本社会

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

新品価格
¥756から

アニメゲームといったサブカルチャーに焦点を当てて分析をすると、見えてくる現代社会の構造

政治的、心理的にも通じるものがあり、なぜ日本でサブカルチャーが納得できる解説。

 

単純にアニメを見て楽しむだけでなく、その裏側にある世界観、ひいてはそれを創りだした社会観。

様々なものがアニメという作られた世界の中に埋め込まれている

それを我々はどれだけ読み取ることができているのだろうか。

 

表面だけさらっと観察して、その中身をしっかり理解しているだろうか。

深さを、主張を、思いをどこまで汲み取ることができているだろうか。

 

この本を読んだあとであれば、

ただのエンターテイメントではなく、もっと深く楽しむことができるのではないだろうか。

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