【読書】総合商社/田中隆之 その強さと日本企業の次を探る
総合商社とは一体何なのか
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就活で人気のある企業、総合商社はよくその中に含まれる。
商社ってなんだ、と疑問に思ったことは無いだろうか。
五大商社と呼ばれる会社がある。
彼らは似ているようで、異なったビジネスを行っている。
3位に甘んじていた伊藤忠商事がトップに躍り出た。
その違いはどこにあるのだろうか。
何処にあったのだろうか。
日本にだけ存在する総合商社という企業たち。
なぜ生き残ることができたのか、そして彼らはどこへ向かうのか。
総合商社の総合商社たる所以はビジネスの広がり
「 総合商社に起きている構造変化は 連結子会社を通じた多様な製造業サービス業への進出と事業投資会社かの二つ」
従来の商社は物を売って、それを誰かに販売する。
そのトレードによって収益を得ていた。
しかし徐々に変化が起こった。
子会社を通じた製造業やサービス業への進出。
自分の業務領域を拡大する行為である。
それともうひとつ純粋な事業への投資。
この二つのビジネスを行っているのが現在の総合商社である。
肥大化するポートフォリオ
「コンツェルン化の目的は増大する利益を財閥全体のなかでうまく成長部門に再投資することだった」
総合商社は徐々に業務の幅を広げていた。
その根幹にあるのは、事業からの収益を他の成長投資に回す。
言ってしまえば、事業のポートフォリオを自分の会社で組むことなのだ。
一方で、投資家はこの行動を嫌う。
なぜならば、投資家自身がポートフォリオを組むからだ。
投資銀行と総合商社は似て非なるもの
「投資の特性としては総合商社の事業投資にも似た部分がある。事業運営的な要素は投資銀行には見られない。」
投資銀行と総合商社の事業投資は異なるものである。
そこには事業の運営への参画可否が違いとして存在するのだ。
投資銀行は自分たちで製造業はサービス業を担うノウハウがない、一方で商社は実際にビジネスに対する手触り感を持っており、運営が可能。
それが商社の強みである。