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aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】鬼の跫音/道尾秀介 過去に犯した罪や出来事に怯える人間たちの物語

過去に犯した罪や出来事に怯える人間たちの物語

本作には短編6つ。

いずれも不気味で恐ろしく描かれた物語。

鬼の跫音 (角川文庫)

新品価格
¥555から

過去に犯した罪や出来事に怯えている人間の物語たち。

ストーリーそれぞれに繋がりはない。

ただひとつ、すべてにSという人物が登場することを除けば。

 

おそらく、Sは同一人物ではない。

たまたまSという名前が一致しているだけなのか、

パラレルワールドでの話なのか、最後まで明らかにはされない。

 

自然に読み進めていくと、最後でひっくり返される。

衝撃の事実がさらっと書かれている。

そんな短編たちを作る道尾秀介

 

人の中にすむ鬼を目の当たりにする。

 

  

世界が変わるのはふとしたこと

「自分の抱えていた問題は、なんて小さく、軽いものだったのだろう」

自分を客観的に見る時に、始めて気づくこともある。

無我夢中になっているときには見えないものがたくさんある。

でも、そんなに単純なことばかりではない。

この物語もそう。

少しだけ順番が変わっていたら、結果も変わっていただろう。

 

 

外に打ち明けられない悩みと助けて欲しいという望み

「哀しませるわけにはいかない。本当のことを言うわけにはいかない」

いじめを親になかなか打ち明けられない少年の一言。

親のことを思うがあまり、真実を話すことができない。

余計な心配をかけたくないと思う優しさの結果だ。

だが、親にとっては、何かを隠しているのは察することができる。

それを打ち明けてくれないことこそ、余計心配になるのだ。

子供の時には思わなかったことだ。

 

「もう一度変えてもらいたかった。たとえ、またすぐもとに戻ってしまうとしても」

少しのきっかけさえあれば、背中を押してもらえさえすれば。

そういう思いが込められた願い。

真っ暗闇の中、どんな些細なきっかけであってもすがりつきたくなる。

それが人間、弱い生き物だからこそ支えあって生きていく