aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】BACK 猟奇犯罪捜査官 藤堂比奈子/内藤了 敵はどこにいる?

藤堂比奈子シリーズ第7作

BACK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子<猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子> (角川ホラー文庫)

都心の総合病院で起きた大量殺人事件。
その病院は通常と違っていた。
なぜならそこには特殊な受刑者を入院させるための特別病棟があったのだ。
ねらわれたのは その病棟にいる受刑者であった。
そしてインターネット上では奇妙な書き込みが見つかった。
報道されていない内容がそこに乗っていたのだ。
そこには「スイッチを押すもの」という記述が見つかった。
その「スイッチを押すもの」とは中島保、彼のハンドルネームだった。
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【読書】百舌の叫ぶ夜/逢坂剛 人気ドラマMOZUの原作

世界の裏側は広く、そして恐ろしい

百舌の叫ぶ夜 (百舌シリーズ) (集英社文庫)

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¥778から

能登半島の岬で記憶喪失の男が発見される。
彼は、妹と名乗る男によって新谷和彦と確認される。
 
その頃、東京では爆弾事件が発生。
倉木警部の妻が巻き添えとなり死亡する。
 
また、テロリストである新谷を尾行していた明星警部は別の思惑を有していた。
 
警察と公安、そしてテロリスト。
物語が進むにつれ、三者が複雑に絡み合った関係をみせる。
 
裏の世界のつながりとそれが見え隠れする際の人の浅ましさ。
恐いのは誰か、恐いのは何か。
人は何を恐れているのだろうか。
そして何を信じればいいのだろうか。
 
見ている視野が徐々に広がり、何度も反転する。
真実はどこにあるか。
違和感はどこにあるか。
最後まで手を止めることができない。
 
エンターテイメントとしてのどんでん返しというものは、二種類ある。
一つは、同じ視点で、同じ高さであるものの、つながりが見えておらず、
それが明らかになることで見え方が変わるもの。
そして、二つ目は視点がより俯瞰になることで世界が変わるもの。
本作は後者、徐々に視点が引き、全体像が明らかになる。
世界は広い、そして恐ろしい。
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【読書】みかづき/森絵都 塾と学校、それらは太陽と月である

塾と学校の関係という大きなものに立ち向かった家族の物語

みかづき

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学校は無償のもの、塾は有償のもの。
もちろん利益を求めなければならない。
その狭間に落ちている生徒はいないのだろうか。
 
塾と学校、それらは太陽と月である。
だがそれらが歩み寄らない限り、あいだに落ちる人間というものを失くすことができない。
営利企業の限界というものをまじまじと見せつけられる1冊。
 
働くからには楽しく、そして自分の信念を貫き通すことの大切さを学ぶ。
親子三代の物語。
積極的に引っ張る女性達とそれに引っ張られながらも自分の信念は曲げない男性たちの物語。
ひたすら利益を追求する、それが正しいと規定された今の現代社会ではある程度仕方のないものかもしれない。
 
しかしながら、それをあるがまま受け入れ、立ち向かわないということが思考停止に過ぎないのかもしれない。
せっかく今の時代に生きているのであれば何か自分の信念を貫く。
そして、世界を変えてみせるという気概を持ってもいいのではないだろうか。
常に満ち足りることのない三日月のように、満月になりたいと上を向いて光り輝く我々でありたいものだ。
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