aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】祈りの幕が下りる時/東野圭吾 悲しくも強い親子の物語

加賀恭一郎のルーツをたどる

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

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東野圭吾の加賀恭一郎シリーズ。

日本橋署の刑事、加賀恭一郎のルーツに関する物語。

なぜ、彼は日本橋署にこだわるのか、それがついに明らかになる。

 

舞台の演出家のもとを訪れた女性が遺体で発見される。

宮刑事は近くで発見された焼死体との関連を疑う。

その遺留品の中に、日本橋周辺の橋の名前が書かれていたことに気づく。

加賀はそれを聞いて動揺する。

なぜなら、加賀の母親の遺品にも同じ名前が書かれていたから。

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【読書】ハーモニー/伊藤計劃 理想郷に倦んだ少女は、世界を終わらせようとする。

人質は全世界の人間たち

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

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舞台は21世紀後半、世界的な混乱を経て、世界は変わった。

大規模な福祉厚生社会を作り上げたのだ。

 

医療分子の発達により、人は病気にかからなくなった。

体の中に入れた分子が、全てを管理し、指導する。

人の重要な機能はアウトソースされ、痛みを感じることがなくなった。

 

世の中からは不健康な物が駆逐され、画一化された体型の人間たちであふれかえる。

個性は徐々に失われるものの、社会は理想的なもの、ユートピアが訪れる。

 

そんな世界を憂う3人の少女たちがいた。

彼女らは世界に立ち向かうために、反旗を翻すために、自分自身を殺すことにし

た。
なぜなら、世界が守っている自分の体を傷つけることは、世界への反逆であるから。

 

しかしながら実際に実行したのは一人だけ。

残りの二人は生き残ってしまった。

怖くなったのだ。

 

それから13年が経ち、事件は起こる。

6000人近くの人間たちが、一斉に自殺を企てた。

そしてその事件の背後に見え隠れする少女の影。

それは13年前に自殺したと思っていた少女であった。

 

人間とは何か、生きるとは何か。

便利さとは何か、人間らしい行動とは何か。

技術の発達により人間がしなくて良い行動が増えたと同時に、何かを失っているのではないだろうか。

その極地を見せてくれる一冊。

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【読書】君の名は。/新海誠 私は、僕は、だれかひとりを、ひとりだけを、探している

星が降ってくるようだった

小説 君の名は。 (角川文庫)

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話題の映画、小説版。

田舎暮らしの女子高生、三葉。

彼女は夢を見る。

その夢では自分が東京に住む男子高校生になっていた。

 

東京暮らしの男子高校生、瀧。

彼も夢を見る。

山奥の村で暮らす女子高生になる夢だ。

 

やがて二人は入れ替わっていたことに気づく。

交わることになった彼らはやがて壮大な運命に翻弄されていく。

 

彗星を鍵にした運命の物語。

時間は組紐のようにくっついては離れ、離れてはまたくっつく。

時間の流れという無常の存在に抗いながら、二人は生きていく。

 

映画もいいが、小説もいい。

どっちがいいとは決められない、むしろ両方とも見て欲しい。

映画にしか無い臨場感と、小説にしか無い奥深さが存在する。

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