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【読書】祈りの幕が下りる時/東野圭吾 悲しくも強い親子の物語

加賀恭一郎のルーツをたどる

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

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東野圭吾の加賀恭一郎シリーズ。

日本橋署の刑事、加賀恭一郎のルーツに関する物語。

なぜ、彼は日本橋署にこだわるのか、それがついに明らかになる。

 

舞台の演出家のもとを訪れた女性が遺体で発見される。

宮刑事は近くで発見された焼死体との関連を疑う。

その遺留品の中に、日本橋周辺の橋の名前が書かれていたことに気づく。

加賀はそれを聞いて動揺する。

なぜなら、加賀の母親の遺品にも同じ名前が書かれていたから。

加賀の母親が関係している事件 

「あのメモに書かれた十二個の橋の意味を解き明かしたかった」

加賀の母親は孤独死をし、加賀と父親と別れてからの足取りはほとんど知られていなかった。

偶然に関係した事件からその足取りが少しずつ明らかになってくる。

人は離れているとお互いの気持ちがわからなくなってしまう。

たとえ遠く離れていたとしても、心は繋がっている。

そう信じていながらも、信じきれない何かがある。

加賀は自分の母親の足取りを追いながら、事件を追う。

二つが絡み合って、見えてくる真実。

悲しくも強い親子の物語

 

 

感覚は個人毎に違ってくる

「感覚だけで動いていては刑事の仕事は務まらない」

仕事はすべてそう。

いかに鋭い感覚を持っていたとしても、それを基に論理的に説明できなければ周りの賛同を得られない。

それは仕事が一人でやるものではなく、組織でやるものだからだ。

組織の強みと一人の強み、上手くバランスさせることが難しい。

 

ネットが何を生むか

「今の時代、口コミがなければ何事も流行らない」

舞台の演出家に向かって言う加賀のセリフ。

ネットが高度に発達し、身近なものになった。

それゆえに消費者の心を掴むことが大切になった。

今までの供給さえすれば売れるというビジネスモデルが衰退した結果だ。

 

視点を変えることができない人もいる

「一方向から見ているだけでは、本質はわからないってことだ」

加賀と松宮は船に乗り日本橋を見る。

裏側から見る街の風景は、ガラリと変わったものになる。

何事も一方向から見ているだけでは得られるものは少ない。

様々な方向から吟味し、精査しなければ物事を本当に理解することはできない。

 

子を守るために

「親は子供のためなら自分の存在を消せるようです」

加賀が容疑者に向けて言った言葉。

子供の幸せを一心に願い、自分を消してしまうほどの気持ちを持つこともある。

辛い決断ではあるが、子を思う気持ちの強さに驚愕する。

子のためになら、親はなんだってできる。

逃げ隠れし、耐え忍ぶことさえも。

 

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