【読書】その女アレックス/ピエール・ルメートル 被害者不明の誘拐事件
女はアレックスというのだ。いや、アレックスといったのだ。
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一人の女性が誘拐される。
誘拐が発覚したのは目撃者がいたから。
監禁場所が見つからない。
だが、誘拐された女性の身元がわからない。
だれも捜索願を出さないのだ。
被害者は誰。
加害者の側から判明し始める。
疑われたのは中年の男性。
警察に気づき彼は逃走、そのまま飛び降り死んでしまう。
女性の身元と監禁場所は依然として不明。
加害者は被害者の女性と交際していた男の父親だと判明する。
その息子は現在行方不明。
捜査を重ねる内に、息子の死体が発見される。
女性が暮らしていた場所で。
女性の身元が判明したかに見えた。
そして彼女は硫酸を使用する殺人犯かもしれない。
被害者が突如、加害者に代わる。
捜索ののち、女性の監禁場所が偶然判明、そこに行ってみると既に脱出した後であった。
彼女はどこへ行ったか、なぜ逃げるのか。
どんでん返しを楽しむストーリーかと思いきや、最後は複雑な気持ちになる。
ただの殺人鬼でしかないと思っていた人間が、実はそこに至るまでちゃんとした理由があった。
加害者は被害者でもあった。
そんなときに、人間はどういう判断をするのか。
何が正しいのか。
復讐というものに対してアレックスは問いかけを放つ。
続きを読む【読書】科学者と戦争/池内了 いかなる立場で科学研究を行なうのか
武器輸出、軍学共同というように産業界にも大学にも軍という言葉が目立つようになった
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憲法9条の改憲など、戦争への道筋が少しずつ見えてきているのかもしれない今。
日本がいつまでも平和主義を貫くことができるのか疑問視されているときに、国民は無関心でいてはならない。
戦争には武器が必要だ。
第二次世界大戦で使われた核がその最たるもの。
それらはどうやって生み出されたか。
科学技術により生み出されたものだ。
科学が理論を研究し、それを用いた技術により開発される。
戦争をして人を殺した人はもちろん、果たして開発に関わった人たちはどう思っているのだろうか。
戦時中に人を殺すことは英雄として見られる。
科学者や技術者は創っただけ、使ったのは自分ではない。
だが、それでいいのか。
作ったものに対する責任を無条件に捨てることはできるのか。
科学技術を志す人に、そしてルールを決める人に、全ての人に読んで欲しい一冊。
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