【読書】インフェルノ(下巻)/ダン・ブラウン ダンテはどんな過酷な試練にも耐える人間の強さを表す
科学的思索と宗教的な信仰の会わせ技
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ついに彼らはたどり着く。
人類の未来を永久に変えてしまう恐るべきゾブリストの野望。
破壊的な何かはすでに世界のどこかに仕掛けられてしまった。
そして彼の仲間は意外と近くににいたのであった。
彼を追っていたとみられたWHOの局長は実は味方。
そして目に見えぬ敵を追ってイスタンブールへと飛ぶ。
その機内でラングドンは驚愕の事実を知る。
味方は敵であり、敵は味方であった。
ダンテの地獄編をめぐる物語はクライマックスへと舵を切る。
単なるエンターテインメント小説ではない。
世界に警鐘を鳴らす一冊。
中巻から下巻にかけて、手を止めることはできなかった。
自分の悩みから世界の悩みへと昇華させた彼女
「 自分自身、身の回りの問題を思考の的から外し、代わりに周囲の世界へ注意を向けること」
幼い彼女はこう思う。
悪いのは自分だ、だが自分の何が悪いのかがわからない。
世界は正しく、自分が間違っている。
その問題を解決しようと必死に努力する。
だがふと視点を広げてみればそんなことはない。
自分の問題ではなく周りに目を向けることで自分の力を発揮できる場所がある。
それに気づき、世界を救うために彼女は立ち上がった。
偽装により読者も騙される
「 我々は偽装を行うことに極めて長けている」
大機構の総監は言う。
騙すことに全てをかける、それが彼らのアイデンティティーであり彼らが歴史を守ってきた所以でもある。
この物語のどこからが虚構であったのか、騙されていたのは誰なのか。
繰り返される歴史を止めなければならない
イスタンブールは西洋と東洋の中心地。
世界の交差点と言える。
イスタンブールはその歴史の中でいくどとなく疫病に見舞われた。
果たして、その歴史は繰り返してしまうのか。
拡散する前にウイルスを封じ込めることができるのか。
ダンテの地獄が現れるのかどうか。
人に理解されないことほど悲しいものはない
シエナは語る。「 私は孤独がどんなものかを知っています。中でも最悪なのは周囲に理解されないことから生じる孤独です」
ゾブリストは誰にも主張を聞き入れられることなく、失意のまま死んでいった。
狂気に満ちた心を残して。
果たしてその心を作ったのは誰だろうか。
本人はもちろんのこと、周りも十二分に責任はある。
誰が耳を貸さなかったのか、誰が彼を黙殺したのか。
誰が彼を殺したのか、誰が世界を危険にさらしめたのか。
このダンテの言葉を忘れてはならない
「 人々は汝の名を口にする限り汝は死ぬことはない」
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