aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】小暮写真館1/宮部みゆき 信じるモノは写真の中に見えてくる

あなたの写真の秘密を解き明かします

小暮写眞館I (新潮文庫nex)

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宮部みゆきは本当に不思議な作家だと思う。
シリアスなものからファンタジーまで。
血みどろの殺人事件から萌えるキャラクターが走り回る世界まで。
何でも書ける、そんな作家だと僕は思っている。
今回宮部みゆきが選ぶのは、ちょっと不思議な家族。

 

古びた商店街にひっそりと佇む写真館。
ただし営業はしていない。
なぜなら主人公の一家が買い取った建物だから。
昔の写真家の建物そのままに、彼らは住居として小暮写真館に住み始めた。
主人公の花菱英一は、その写真館絡みの謎に巻き込まれる。
ある女子高生が持ってきた一枚の写真、それは幽霊が映っている心霊写真であった。
その謎を解くため彼は走り回る。
奇妙な人々のつながり町の人々とのふれあい、そして彼自身の成長の物語。
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【読書】負けてたまるか 国産旅客機を俺たちが作ってやる/小西透 下請けからの脱却 

半世紀ぶりに日本人の前に現れる国産旅客機

負けてたまるか! 国産旅客機を俺達が造ってやる -小説・MRJ開発物語-

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MRJは、現在、度重なる延期のさなかだ。
不安と重圧に押しつぶされそうになっている、そんな設計者たちがいるかもしれない。
だが、それ以上に期待している国民たちがいる。
 

 

僕は飛行機が好きだ。
なぜだと言われると非常に難しいんだが、飛ぶからだろうか。
重力というものによって、人間は地上に繋ぎ止められた。
だが、それを軽々と乗り越えるもの、それが飛行機ではないかと僕は思っている。
だからこそ、人は飛ぶという行為に憧れ、羨望の眼差しを持つ。
そして飛行機というものを特殊である。
何が特殊か、それは飛んだら感動すること。
人に感動を与えられるものは、非常に少ないんじゃないかと僕は思っている。
もちろん、人それぞれではあると思う。
しかし、飛行機ほど大衆が受け入れやすいものってないんじゃないか。
子供たちに希望を、若者に未来を、大人に夢を与えられるもの。
それこそ飛行機だ。
本作は、皆の希望を背負った国産旅客機の開発過程を緻密な取材により小説化した物語である。
もちろんフィクションではあるのだろうが、限りなくノンフィクションに近い。
ものづくり国家日本、ここから再び飛び立つために。
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【読書】イノベーションはなぜ途絶えたか/山口栄一 昔は技術大国、今は見る影もなし

イノベーターがいない国、日本

イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書1222)

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¥864から

日本は今、成長しているのだろうか。
おそらくほとんどの人がそうではないと感じているはずだ。
だからこそ、金融政策という見せかけの剣を使って推し進めようとしているのだ。
そう、今日本は、沈み行く船と言える。
原発事故、シャープ買収、日本企業の弱さがここにある。
昔は技術大国と呼ばれた国。
今は見る影もない。
日本に不足しているのはどのような人材だろうか。
それはイノベーターと呼ばれる技術と経営の両方に対して知見を持つ人材であろう。
 

 

正しい技術を持っているだけではならない。
技術をどう使うか。
何に価値を見出すか。
それができる人間たちがいま、世界を動かしている。
消費者が何に価値を持ち、何を欲しがっているか。
高い技術を欲しがっているのではない。
彼らが求める価値の本質を見極める。
それがイノベーター。
アメリカは 彼らを見つけ、成長させるシステムを作った。
日本もそれを真似して、形だけを作った。
 
日本の問題点と、我々に不足しているもの。
それを明らかにする本書。
問題の根本はどこにあるのか、目を背けることは許されない。
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