aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】Another/綾辻行人 <死者>は誰?だまし絵に酔いしれる。

地方にある中学校の三年三組、そこにある机に書いてある

Another(上) (角川文庫)

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¥720から

三年三組は特殊な問題を抱えている。

そのクラスは「死に近い」と言われている。

そこで起こる不思議な出来事。

事情を知らない転校生の主人公は放り込まれる。

 

主人公は眼帯をつけたクラスメイトに出会う。

だが、彼女は周りから無視されている。

クラスメイトたちはこう言う。

「いないものの相手をするのはよせ」
「その子って、本当にいるの?」

なぜ彼女は無視されているのか。

そもそも自分にしか見えていないのではないのか。

そのまま疑心暗鬼に陥る。

 

次第に明らかになる秘密。

そのクラスには死者が混じっている。

そしてクラスの関係者に死が訪れる。

 

主人公は徐々に考える。

自分が加わった死者ではないのかと。

「ぼくのせいで。ぼくがこの学校に来たせいで」

 

猜疑心に囚われながらも事件は起こり続ける。

そして、最後に待っていた真相に驚愕する。

唸ること間違いなし、その瞬間こそが楽しみであろう。

著者が描く「だまし絵」に酔いしれる

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【読書】掏摸/中村文則 惨めさの中で、世界を笑った連中

東京でスリを行なう天才スリ師の主人公

掏摸(スリ) (河出文庫)

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¥508から

悪事を働きながらも、それなりな暮らしを送っていた。

 

ある日、木崎という男と再会する。

彼は「最悪」の男、闇社会に生きている。

彼は主人公に仕事を依頼する。

失敗すれば殺す、逃げれば大切な人を殺すと。

強大な権力をもつ木崎に運命を定められたかのごとく仕事を依頼される。

逃げることができない、支配された人生

木崎はそれを快感に思う。

 

支配するもの、支配されるもの、そして彼らの後ろ側には世界という更に大きな存在が。

主人公が悪人だからといえども、何か不条理なものを感じる。

社会から外れた人間たちの苦しみと、自分に選択権のない人生の恐ろしさを目の当たりにする。

 

世界という大きなものの中で支配されている場合は違和感はない。

自分と同じ目線である他人に支配されることで理不尽は具現化される。

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【読書】本と流通/Human And Bookstore 本を愛する人にこそ、裏側も知ってほしい

ブックカフェで見つけた、本の流通に関してまとめられた一冊

HAB本と流通

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¥1,296から

出版、流通、本屋という3形態を全て行おうというプロジェクト、Human And Bookstore。

僕は本が好きだ。

だけども、その本がどのような形で書店に並ぶのかを知らない事に気がついた。

取次という仲介業者、そして新たな流れがいま、始まろうとしていることにも。

 

またこの本は流通だけでなく、本についての熱い思いが込められている。

多くのインタビュー記事でもそう、本が好きだから、皆に本を届けたいからという人で溢れている。

 

いま街の書店の数が減っていると耳にする。

そんな中、新たな形の書店も生まれている。

街の本屋がインターネットに負けてはならない。

むしろ、彼らは土俵が違うのだ。

自分の目と手だけでなく会話をして本を探す

それが本屋なのだ。

つながりを作る場所なのだ。

大きいチェーン店の画一的な本屋だけでなく、オリジナリティに溢れた楽しい本屋が増えることを願う。

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