aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】スコーレNo.4/宮下奈都 あなたはいつ、少女から大人になりましたか

派手なところは一つもない。だが、この本を読み終えると前向きな気分になる。

そこだけは保証したい。

スコーレNo.4 (光文社文庫)

新品価格
¥617から
(2017/9/10 21:20時点)

スコーレとは学校という意味だ。
何かを通じて学び、成長していく。
本作の主人公、麻子にも人生のスコーレが4つある。
中学、高校、大学、就職を通して、少女から女性へと変わっていく。
自由奔放で綺麗な妹、七葉に比べて、自分は平凡だと思っている麻子。
そんな彼女が悩み苦しみながらも成長する姿を書き上げた一冊。
人は悩む。
傍から見たらつまらない悩みかもしれない。
だが、乗り越えるまではつらいのだ。
恋人のこと、仕事のこと、人付き合いのこと。
悩みの原因はたくさんある。
だが、乗り越えてしまえばそれは強さに変わる。
悩みがあって良かったと心から思えるようになるのだ。

 

この本の中にも、きっと読者が共感できるスコーレが詰まっている 。
それは読む人によって違ってくるだろう。
学生時代なのか、社会人なのか、何に悩んでいるのか。
美しくまた優しいながらも背中を押してくれる、そんな本だと思っている。
続きを読む

【読書】アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎 ミステリーが創る。煌めく奇跡の瞬間を。

友愛のストーリー

アイネクライネナハトムジーク

新品価格
¥1,300から

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会したOL。
人生はいつも楽しいことばかりじゃない。
不器用な駆け引きの数々。
いろんなところで奇跡は起こる。
それは運転免許センターかもしれない、リビングかもしれない、駐輪場かもしれない。
立派な登場人物ばかりではない。

 

だが情けなくも愛おしい、そんな彼らが巻き起こす 物語の数々。
魔法の様な連作短編集。
それは物語が進むにつれ、様々なつながりが目に見え、明らかになるミステリー。
その中にあるのは友愛。
それこそが伊坂幸太郎のテーマであろう。
続きを読む

【読書】Nのために/湊かなえ 人は誰かのために嘘をつく

N、それは誰のことか。誰を愛しているのか。

Nのために (双葉文庫)

新品価格
¥680から

高層マンションの一室で、そこに住む夫妻の変死体が発見された。
そこに居合わせたのは20代の男女4人。
彼らの証言は、次第に事件の真実を明らかにしていく。
その過程の中で見え隠れする彼らそれぞれの思い。

 

彼らは皆、誰かのために何かをしている。
それにより事件の全貌が見えづらくなった。
タイトルにもあるNのために。
このNは一体誰だろうか。
物語に出てくる登場人物は皆、Nの頭文字を持っている。
最後まで読んだとき漸く、このタイトルの意味が分かるのではなかろうか。
ミステリーと言うだけでなく、純愛ストーリーのジャンルにも入一冊だ。
続きを読む