aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】プラージュ/誉田哲也 犯罪者たちのその後 に焦点を当てた物語

プラージュとはフランス語で海辺という意味だ海と陸の境界。

プラージュ (幻冬舎文庫)

それは常に揺らいでいる。
家賃5万円、掃除交代制、仕切りはカーテンのみで、美味しい食事付き。
こういったシェアハウスがあったとしたら、あなたはどうするだろうか。
だが住人たちは何だか訳ありな人ばかりだ。
そんなシェアハウスに入ることになった元サラリーマンの貴生。
彼はなぜ元サラリーマンなのか。
それは彼が前科者だからだ。

 

気晴らしに出かけた店で、周りに勧められるがままに覚せい剤を使用、そして逮捕される。
そんな経験を持った彼は社会に復帰しようと試みる。
だが社会は前科者に厳しい。
住むところもままならない。
そんな中に、紹介されたのがこのシェアハウス、プラージュであった。
訳ありの人間達が織りなす、訳ありの物語。
人はどうやって更生していくのか。
罪はどうしたら許されるのか。
その問いに真っ向から向き合っている。
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【読書】スコーレNo.4/宮下奈都 あなたはいつ、少女から大人になりましたか

派手なところは一つもない。だが、この本を読み終えると前向きな気分になる。

そこだけは保証したい。

スコーレNo.4 (光文社文庫)

新品価格
¥617から
(2017/9/10 21:20時点)

スコーレとは学校という意味だ。
何かを通じて学び、成長していく。
本作の主人公、麻子にも人生のスコーレが4つある。
中学、高校、大学、就職を通して、少女から女性へと変わっていく。
自由奔放で綺麗な妹、七葉に比べて、自分は平凡だと思っている麻子。
そんな彼女が悩み苦しみながらも成長する姿を書き上げた一冊。
人は悩む。
傍から見たらつまらない悩みかもしれない。
だが、乗り越えるまではつらいのだ。
恋人のこと、仕事のこと、人付き合いのこと。
悩みの原因はたくさんある。
だが、乗り越えてしまえばそれは強さに変わる。
悩みがあって良かったと心から思えるようになるのだ。

 

この本の中にも、きっと読者が共感できるスコーレが詰まっている 。
それは読む人によって違ってくるだろう。
学生時代なのか、社会人なのか、何に悩んでいるのか。
美しくまた優しいながらも背中を押してくれる、そんな本だと思っている。
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【読書】書店員X/長江貴士 文庫Xを作り出した張本人

新しいことをしないことこそが失敗なのだ

書店員X - 「常識」に殺されない生き方 (中公新書ラクレ)

新品価格
¥907から

文庫X、岩手の書店を発信に本のカバーを全く見せず、おすすめのコメントだけで売る。
その結果、大ブームを巻き起こしたその発起人たる著者、彼が書いた本である。
著者もタイトルを見せないその奇抜な売り方。
それはどのような道のりとアイディアで生まれたのだろうか。
また彼自身の反省を振り返り、新たな発想を得るための方法を著者は語る。
出版不況が叫ばれる昨今、書店の楽しさはどこにあるか。
ネット上では見えない、本に出会うという感覚。
それを売る商売、それこそが本屋なのだ。
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