aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎 ミステリーが創る。煌めく奇跡の瞬間を。

友愛のストーリー

アイネクライネナハトムジーク

新品価格
¥1,300から

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会したOL。
人生はいつも楽しいことばかりじゃない。
不器用な駆け引きの数々。
いろんなところで奇跡は起こる。
それは運転免許センターかもしれない、リビングかもしれない、駐輪場かもしれない。
立派な登場人物ばかりではない。

 

だが情けなくも愛おしい、そんな彼らが巻き起こす 物語の数々。
魔法の様な連作短編集。
それは物語が進むにつれ、様々なつながりが目に見え、明らかになるミステリー。
その中にあるのは友愛。
それこそが伊坂幸太郎のテーマであろう。
続きを読む

【読書】Nのために/湊かなえ 人は誰かのために嘘をつく

N、それは誰のことか。誰を愛しているのか。

Nのために (双葉文庫)

新品価格
¥680から

高層マンションの一室で、そこに住む夫妻の変死体が発見された。
そこに居合わせたのは20代の男女4人。
彼らの証言は、次第に事件の真実を明らかにしていく。
その過程の中で見え隠れする彼らそれぞれの思い。

 

彼らは皆、誰かのために何かをしている。
それにより事件の全貌が見えづらくなった。
タイトルにもあるNのために。
このNは一体誰だろうか。
物語に出てくる登場人物は皆、Nの頭文字を持っている。
最後まで読んだとき漸く、このタイトルの意味が分かるのではなかろうか。
ミステリーと言うだけでなく、純愛ストーリーのジャンルにも入一冊だ。
続きを読む

【読書】私に似た人/貫井徳郎 テロが日常的に起きる社会で 誰かを信じる事は出来るだろうか

幸せか不幸かなんて要は主観

私に似た人 (朝日文庫)

新品価格
¥842から

小規模なテロが頻発するようになった日本。
実行犯たちは実生活では全く接点がない。
しかしながら、彼らは一様に、冷たい社会に抵抗するレジスタントと、自分のことを称していた。
この物語には10人の主人公がいる。
彼らはそれぞれテロに関わらざるを得なくなった人物である。
大切な人を失ったもの、テロを起こす犯人、警察官、テロに共感を覚えるもの、煽動しようとするもの、テロにも社会にも無関心なもの。

 

様々な人間たちが織りなし作られていく日本の姿。
現代社会と何が違うだろうか。
フィクションでありながら、なぜか身につまされる思いを感じる。
その原因はどこにあるのか。
続きを読む