aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】サクリファイス/近藤史恵 ロードレースチームのために犠牲になるアシストという役割

勝者は一人、だがチーム競技。それがロードレース

サクリファイス (新潮文庫)

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アシストに与えられた使命。

それはエースに勝利をもたらすこと。
自分は犠牲になりエースを勝たせること。
それが自転車を漕ぐ理由。
陸上選手から自転車競技に転じた白石誓。
彼はプロのロードレースチームに所属し転戦していた。
彼のチームには絶対的エースが一人いる。
エースに見込まれ、白石はアシストとして重宝される。
自分が一番になるのではなくエースを一番にさせる、それが目的のアシスト。
白石はその立ち位置に非常に満足していた。
チームメイトからエースの黒い噂を耳にする。

 

彼は他人を蹴落としエースの座に立った、という噂だ。
そして蹴落とされた人間は車椅子での生活を余儀なくされている。
エースの座に就くためになんでもする、そんなエースだと。
様々な不安が残るなか、ヨーロッパでのレースに出る。
そこで起こった事故、果たしてそれは事故なのか事件なのか、犯人は誰なのか。
ロードレースの魅力とスリリングな人間ドラマを濃縮。
さらにはミステリーとしての仕掛けを備えた素晴らしき一冊。
ロードレースを知らない人間が、間違いなくロードレースにのめり込むであろう一冊。
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【読書】日本エリートはズレている/道上尚史 日本よ、謙虚たれ!

日本エリートはズレている (角川新書)

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なかなか刺激的なタイトルだ。

挑戦的と言ってもいいかもしれない。
著者は主張する。
ダイナミックに動く世界で、時が止まっているのは日本だけ。
そう、日本は他国を馬鹿にする。
自分自身を特別だと思い込み、他国から学ぶことを怠けている。
そう彼は主張する。

 

中国は所詮、他の国を真似しているだけだ、という日本人は多くいる。
そして中東は危険で、なおかつ石油だけで儲けている、という日本人も非常に多い。
エリートの中にもそういう人は多い。
むしろ国の制度や政策を決める人間たちほど他国に目を光らせ、いいところは盗み、常に研鑽を続けているその姿勢が最も大事とされる。
また日本企業もそうだ。
社内の調整にばかりコストがかかり、外から学ぶことは非常に少なくなってしまった。
今一度フラットな目線を持って世界を眺め 日本の立ち位置を明確にする必要があるのだ。
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【読書】小暮写真館2 世界の縁側/宮部みゆき あなたは誰かの家の縁側に座っているだろうか

世界の縁側に何がいるのだろうか

小暮写眞館II: 世界の縁側 (新潮文庫nex)

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小暮写真館の2冊目。

またも花菱が活躍する。
ひょんなことから、昔写真館だった建物に住むことになった主人公の花菱は、写真にまつわる事件に巻き込まれるようになった。
彼のところに持ち込まれる写真は、少し変わっている。
所謂、心霊写真と呼ばれるものだ。
第1巻で彼は、心霊写真の謎を解き明かしてしまった。
まさに解き明かしてしまったのだ。
そのせいで彼の元に依頼がどんどん持ち込まれるようになった。

 

「花菱くんは強力な霊能力者で心霊写真の浄化をしたことがあるって話だよ」
今回もその一つ。
何が起きたか、もちろん今度も心霊写真だ。
そして人の内面に踏み込む問題がそこには待っていた。
たかだか高校生で何が出来るか。
いや高校生だからこそできるということもあるのだ。
子供が頑張ってるのを見ると元気になる。
そして子供がまともな事を言ってるのを見ると、しょうもない大人になってしまったと自分を嘆いたりもする。
でも、そういうことを気づかせてくれるのが小説というものの魅力だと思っている。
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